お! ぼく好みのターボ・フォーク、来たぁ。
クラリネットとサックスがぶりぶりと、バルカン独特のコブシをつけて吹きまくれば、
アコーディオンが仄暗い情念を秘めた妖しい旋律を奏でる。
まっこと、いいですなあ、これぞバルカンであります。
ハスキー・ヴォイスのエマ・エマさん、変わった芸名でいらっしゃいますが、
迫力満点の身体つき同様、歌もパワフルそのもの。
見得を切るような節回しもキレよく、説得力を持って迫ってきます。
歌いぶりは熱くても、歌は暑苦しくなく、爽快感さえあります。
アップ・テンポで迫る曲ばかりでなく、
ギリシャ歌謡やトルコのハルクふうのスロー・ナンバーもあり、
多彩なレパートリーとなっているところがいいですね。
抒情味あふれるスローでも、情熱的に歌うエマ・エマにグッときますよ。
エキゾなムードが横溢するクレズマーのようなワルツもいいなあ。
全8曲、わずか28分にも満たないミニ・アルバムなんですけれど、
1曲1曲にそれぞれ趣向が凝らされ、充実したプロダクションとなっています。
ストリングスもオーケストラ並みの大人数をフィーチャーしていて、ゴージャスです。
やっぱ、ターボ・フォークの歌手は姐御肌でないと。
Ema Ema "EMA EMA" Grand Production CD692 (2016)