ウィンストン・マンクンク・ンゴジのあゆみ
南アの名サックス奏者ウィンストン・マンクンク・ンゴジの68年デビュー作 “YAKHAL' NKOMO” が、南アのガロからLPリイシューされたんですね。 発売5年で10万枚セールスを記録した、南アでもっとも売れたジャズ・レコードの ひとつとして知られ、ジャズ・マニアには有名なアルバムです。 今回はLPのみのリイシューで、CDは出ていないようです。 ぼくは“YAKHAL' NKOMO”...
View Articleテン年代の『そよ風の伝説』 ムーンチャイルド
白日夢のようなサウンド。 ヘッドフォンから流れてくる甘美なエレピの響きに、 全身の細胞が泡立つのを覚えました。 この快感は、はるか昔、70年代に覚えがありますよ。 ダニー・オキーフの『そよ風の伝説』じゃないですか。 そう、「マグダレナ」でドニ・ハサウェイが弾いた、ウーリッツァーの響きです。 ほかにも、ミニー・リパートンの「ラヴィン・ユー」で...
View Articleノスタルジックなトルコ産タンゴ歌謡 メフタップ・メラル
20世紀初頭、パリに伝わったタンゴは世界的なブームとなって、 アラブやアジアのすみずみまで広まったことは、よく知られていますよね。 ヨーロッパからほど近いトルコでは、早速20年代から、 アルゼンチン・タンゴを演奏する地元楽団が現れ始め、 イスタンブールを中心に、ダンス・パーラーやダンス・スクールが賑わったそうです。 やがて、トルコ語の歌詞によるタンゴ歌謡が作曲され始めると、...
View Article芸術ぶった大衆歌謡の矜持 プナール・アルティノク
19世紀から20世紀に移らんとするオスマン帝国末期。 そのSP時代に栄えた古典歌謡を再興しようとする近年の傾向は、 「トルコ古典歌謡のルネサンス」と呼ぶにふさわしいものといえます。 その中心的レーベルともなったのが、 トルコ航空も後押しするアラトゥルカ・レコーズですね。 こうした新しい傾向が生まれる以前のトルコ古典歌謡といえば、 大編成のオーケストラをバックに、大仰な歌い回しで歌う、...
View Articleテクノ・ホロン参上 ギュルセレン・ギュル
トルコ北部黒海沿岸の伝統舞踏、ホロンにぶったまげたのが2年前。 民俗的な伝統舞踏が、そのまんまトランス・ミュージック化してしまうという、 その強烈にキテレツな音楽のあり様に、ノックアウトされたんでした。 http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2015-07-27 その後話題が話題を呼び、現地絶賛品切れ中だったエミネ・ジョメルトも、...
View Articleターボ・フォークは姐御におまかせ エマ・エマ
お! ぼく好みのターボ・フォーク、来たぁ。 クラリネットとサックスがぶりぶりと、バルカン独特のコブシをつけて吹きまくれば、 アコーディオンが仄暗い情念を秘めた妖しい旋律を奏でる。 まっこと、いいですなあ、これぞバルカンであります。 ハスキー・ヴォイスのエマ・エマさん、変わった芸名でいらっしゃいますが、 迫力満点の身体つき同様、歌もパワフルそのもの。...
View Articleアラブ式オペラを開拓したアラブ歌劇場のパイオニア サラマ・ヒジャズィ
レバノンのアラブ音楽保存調査財団AMARから新作が届きました。 今回も、アラブの文芸復興運動ナフダが盛り上がった、 19世紀後半から20世紀初頭のエジプトで活躍した歌手の復刻で、 サラマ・ヒジャズィ(1852-1917)の3枚組になります。 エジプト古典歌謡のアーカイヴというと、アラブ近代歌謡の道を拓いた サイード・ダルウィッシュ(1892-1923)までは容易にさかのぼれても、...
View Articleエストニアの祝祭感 トラッド。アタック!
トラッド方面は、できるだけ歌の素の味を愉しみたいというキモチが強いので、 トラッド・ロックは苦手です。クラブ・マナーなエレクトロ仕立てとか、 プログレ方面にサウンドが向かうのも、御免こうむりたいですね。 ドラムスが入ると、ヤボったくなると思ってるもんで、 よほどセンスのよい使い方をしていない限り、満足できないんですよ。 昔から、フェアポート・コンベンションすらダメという、...
View Article猟師を称えるヨルバのチャント オグンダレ・フォヤンム
オラトゥボシュン・オラダポは、ヨルバ文化に根差した詩人、劇作家であり、 ブロードキャスターや音楽プロデューサーとしても活躍した人。 77年にヨルバの口承芸能専門のレーベル、オラトゥボシュン・レコーズを立ち上げ、 数多くのヨルバの伝統芸能の録音を残してきました。 オラトゥボシュン・レコーズからは、 ダダクアダのオドライェ・アレムのアルバムがまとまってCD化され、...
View Articleノースウェストのソウル王 アンディ・ストークス
おぉ、再プレスされたか! 去年の秋にリリースされたアンディ・ストークスの新作EP。 これが極上の内容なんですけど、 リリースまもなくソールド・アウトになってしまい、ずっと入手できず。 日本に入ってきた形跡もなく、 これを欲しがっている黒汁マニアさんも、結構いるんじゃないかしらん。 アマゾンのウィッシュ・リストに入れておいたら、 気付かないうちにオーダー可能になっていて、喜び勇んでポチりました。...
View ArticleJ-R&Bのネクスト・ステージ RIRI
これ、17歳の女子高生が歌ってるの!? ま・じ・で・す・か。 うおぅ、ついに日本にも、ジョス・ストーンみたいな才能が登場したってか。 いやあ、びっくりさせられましたねえ。 CDショップのR&Bコーナーの試聴機にセットされていた、新人女性歌手のEP。 は? なんで洋楽フロアに日本人の女のコのCDが入ってんの? なんて思いながら、ボタンを押したら、脳天に雷落ちました。...
View Articleモノクロームなロマンティック ニイア
なんか、ネオ・ソウル、きてない? RC&ザ・グリッツにムーンチャイルドと、 ここのところ、お気に入りになるアルバムに、ネオ・ソウル色の濃いものが多くて、 なんか風が来てる? てな感じを持ってたんですけど、 どうやら風どころか、けっこう大きな波になってるのかも。 今日試聴して耳にひっかかったのが、ことごとくネオ・ソウル・ライクなアルバムばかり。 なんでもかんでもよく聞こえてしまう時って、...
View Articleシャルル・ドゥベル写真集
大学生の頃、アフリカの民俗音楽を集中的に聴き込んでいたことは、 一度ここで書いたことがあります。 http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2014-07-08 当時、進路に迷っていた頃で、文化人類学の研究者になる道へ転向するか、 それとも、今の大学で経済学部に籍を置いたまま卒業して、一般企業に就職するか、 結局、フツーの会社員になる道を選んだわけなんですが。...
View Articleあくなき探究心 チャーリー・パットン
戦前ブルース研究所の仕事ぶりには、いつも敬服してしまいます。 http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2011-07-26 徹底した実証主義、科学的調査にもとづいて、発見される歴史的新事実。 これまで当たり前に思っていたことが、次々とひっくり返される痛快さ。 そのあくなき探究心に、頭が下がるばかりです。...
View Articleジョー・キャロル祭り
希代のジャイヴ・シンガーであり、 バップ・ヴォーカリストである、ジョー・キャロルの代表作2枚、 56年録音のエピック盤と、62年のチャーリー・パーカー盤が揃って復刻しました! こりゃあ、めでたい!! この夏は、ジョー・キャロル祭りでっす!!! ジョー・キャロルが、どんなにカッコいいシンガーかは、 一度ここできっちりと書いたので、もう繰り返す必要はありませんね。...
View Article音楽をする喜び ブラッデスト・サキソフォン feat. ビッグ・ジェイ・マクニーリー
なんて羨ましい連中なんだろう。 ミュージシャンをこれほど羨ましく思わせるアルバムも、 なかなかないんじゃないかな。 自分たちが、その音楽をやる直接の動機となった、 伝説クラスの音楽家と共演できる幸福。 会えるだけでも、自分たちの音楽を聞いてもらうだけでも、 天にも昇る心地となるほど憧れた相手と、今一緒に演奏しているということ。 そんな敬愛の念がびんびんと伝わってきます。...
View Article昔気質のショーロ職人 イザイアス
うわぁ、ごぶさたしてました~、お元気でしたかあと、 思わずジャケットに声をかけてしまった、 サンパウロのヴェテラン・バンドリン奏者、イザイアスの新作です。 前作がいつだったか、もう十年以上も前のことで記憶になくて、 ブラジルのディスコグラフィ Dicionário Cravo Albin da Música Popular Brasileira...
View Article声とバンドリン ニーナ・ヴィルチ&ルイス・バルセロス
レトロなサンバのレパートリーを、 ショーロ風味の伴奏で鮮やかに聞かせてくれた 5年前のアルバムが忘れられない、ニーナ・ヴィルチの新作。 ルイス・バルセロスとの共同名義作と聞いて、楽しみに待っていました。 http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/search/?keyword=Nina+Wirtti+ ルイス・バルセロスといえば、...
View Articleヒップホップよりサンバで輝くラッパー クリオーロ
ブラジルのアンダーグラウンド・シーンから登場したクリオーロ。 大ヒットとなったインディ制作の2作目は、 イギリスや日本でもリリースされ、話題を呼びました。 http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2012-09-28 アフロビートあり、サンバあり、レゲエあり、ダブありと、 豊富な音楽性に裏打ちされたサウンド・クリエイターぶりが鮮やかで、...
View Article40年目の『エクソダス』 ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ
世の中に「デラックス・エディション」はいろいろあれど、 01年にリリースされた、ボブ・マーリーの『キャッチ・ア・ファイア』の デラックス・エディションくらい衝撃的だったのは、ほかにありませんでしたね。 イギリス・アイランドからリリースされた公式盤と、 ジャマイカ録音のオリジナル・ヴァージョンを並列させたものだったんですが、 ギター・ソロをオーヴァー・ダブしたり、回転数をあげてお化粧した公式盤を、...
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