これ、17歳の女子高生が歌ってるの!?
ま・じ・で・す・か。
うおぅ、ついに日本にも、ジョス・ストーンみたいな才能が登場したってか。
いやあ、びっくりさせられましたねえ。
CDショップのR&Bコーナーの試聴機にセットされていた、新人女性歌手のEP。
は? なんで洋楽フロアに日本人の女のコのCDが入ってんの?
なんて思いながら、ボタンを押したら、脳天に雷落ちました。
こんな衝撃は、宇多田ヒカルの「Automatic」のMVを、
深夜放送の音楽番組で初めて見た、あの時以来。
偶然にも、あの時TV初登場だった「Automatic」を目撃したぼくは、
あわてて「宇多田ヒカル」とメモして、リリースの日を待ったんですが、
無名の新人のデビュー・シングルを心待ちにしたなんて経験、生涯あの1回こっきり。
のちに空前のブームが巻き起こるなど、その時点では想像だにしませんでした。
その「Automatic」ショックに匹敵する衝撃を、
RIRIの『RUSH』におぼえましたよ。
思い起こせば、ゼロ年代あたりからでしたかね。
R&Bを歌う新人シンガーが、それ以前の日本のR&Bとは、
一段も二段もレヴェルの上がった歌を聞かせるようになったのは。
本場アメリカとヒケをとらない歌に、
「うほ~、カッコいい。さすが、若い人は違うねぇ」と思いつつも、
身銭切ってCDを買おうとまで思わせる人は、残念ながらいませんでした。
やっぱり、うまいねえ、だけでは、心は震えんのですわ。
どんなに本場モノに迫るといっても、イミテイトだけじゃ満足できません。
うまいだけなら、イギリスにだって、カナダにだって、
それこそ今や、韓国や香港やマレイシアにだって、R&Bシンガーはいますよ。
ですが、このRIRIは、違いましたね。イミテイトを超したサムシングがある。
繊細な歌い出しから、一気に歌い上げるダイナミクスの大きな歌唱、
その若さに似合わぬ豊かな表現力が、さまざまな表情をみせ、聴き手を翻弄します。
もちろんそのマナーは、さまざまなアメリカの先達から吸収したものではあっても、
このコ自身の中からあふれ出るパッションが、
まごうことなき、オリジナルの輝きを放っているんですね。
わずか11歳で出場したデイヴィッド・フォスターが主催したオーディションで、
なんとファイナリストに選ばれたという実力は、ケタ違いです。
あまりの衝撃に、昨年出したというデビューEPもあわてて買ってみたんですが、
これまた、爆発せんばかりの歌いっぷりにノックアウトされました。
もう、歌いたくて歌いたくて、歌わずにはおれないといった気持ちが、
アルバム中からほとばしり出ています。
上滑りしてるくらいの感じが、いいじゃないですか。胸に響きますよ。
英語詞も日本語詞も分け隔てのないクリアなディクションで、
身体ごとぶつけてくるような歌いぶりは、歌のスキルを超え、
圧倒的な説得力をもって迫ってきます。
この時で16歳なのかあ。空恐ろしい才能、というより、
むしろこの若さ、デビュー当初だからこその輝きを捉えた、
逸品といえるんじゃないですかね。
このトンデモな才能のナマ声を聴きに、
タワーレコード新宿店のインストア・ライヴに行ってきました。
すんごい。ホンモノだわ、このコ。
リハーサルの歌い出しの第一声で確信しました。
笑顔がチャーミングなことといったら♡♡♡
十代特有の屈折なんて、関係ないって感じ。
MCを聞いていても、女子高生とは思えぬしっかりとしたトークで、
きちんと躾けられたことのわかる言葉づかいに、大好感。
いずれビッグになって、ドーム・クラスのハコで歌うシンガーに成長するはず。
デビュー間もない時期に目前で拝んだことは、将来貴重となるかも。
RIRI 「RUSH」 The Mic-A-Holics Inc. TMAH0002 (2017)
RIRI 「I LOVE TO SING」 The Mic-A-Holics Inc. TMAH0001 (2016)