オラトゥボシュン・オラダポは、ヨルバ文化に根差した詩人、劇作家であり、
ブロードキャスターや音楽プロデューサーとしても活躍した人。
77年にヨルバの口承芸能専門のレーベル、オラトゥボシュン・レコーズを立ち上げ、
数多くのヨルバの伝統芸能の録音を残してきました。
オラトゥボシュン・レコーズからは、
ダダクアダのオドライェ・アレムのアルバムがまとまってCD化され、
あらためてヨルバの伝統音楽の妙味を堪能しましたけれど、
http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2011-05-17
イジャラのオグンダレ・フォヤンムのCDも出ていることを最近知りました。
オグンダレ・フォヤンムは、36年オヨ州オボモショの出身で、
イジャラというのは、ヨルバの猟師の音楽です。
猟師の音楽というと、マリ、ワスル地方の猟師結社ドンソの音楽、
ドンソ・ンゴニが連想されますけれど、
ヨルバのイジャラは火、鉄、戦いの神であるオグンを祀っています。
「オグンダレ」という名前が、オグンへの崇拝を表わしていますね。
猟師の勇気を称えるイジャラのチャントは、
メロディらしいメロディがなく、ほとんど語り物に近いといえます。
トーキング・ドラムが伴奏につくものの、
ダダクアダのように当意即妙なかけあいは聞かれず、
スウィング感たっぷりのリズムもありません。
トーキング・ドラムは、お囃子が追唱する脇で、
控えめに合いの手を入れる程度のもので、ほとんど目立たないんですよね。
正直なところ、ヨルバ語を解さない者には、イジャラの面白味を感じ取るのは難しく、
さすがのヨルバ音楽好きのぼくも、今回入手したオグンダレ・フォヤンムの6タイトルは、
1回聴いただけで、たぶん棚のこやしになりそう。
ずいぶん昔に買った第4集と、ほとんど同じでしたね。
ほかのイジャラのアーティストでは、
アカンビ・アケロヨというすごいダミ声の人のLPを持っていますけれども、
音楽的に楽しむというところまで、なかなか行き着きません。
というわけで、ディープなナイジェリア音楽ファンにも、あまりおすすめはできませんが、
こんなヨルバの口承芸能もあるという、イジャラのご紹介でありました。
Ogundare Foyanmu "E KU EWU OMO" Olatubosun ORCLP90
Ogundare Foyanmu "VOL.3 : IJA ORE MEJI" Olatubosun ORCLP103
Ogundare Foyanmu "VOL.5 : IKINI NILE YORUBA" Olatubosun ORCLP118
Ogundare Foyanmu "VOL.7 : OMIYALE" Olatubosun ORCLP120 (1980)
Ogundare Foyanmu "VOL.9 : OLODUMARE" Olatubosun ORCLP168
Ogundare Foyanmu "VOL.11 : ITANIJI" Olatubosun ORCLP187