エチオピア初のロック・バンドと自他ともに認められるジャノの、6年ぶりセカンド作。
メタル・ギターがぎゅわんぎゅわんと鳴り響く、
様式化したロック・サウンドではありますが、
いやー、理屈抜き、キモチいいじゃないですか。
すがすがしいというか、胸をすきますよ。
前作ではメンバー10人だったのが、今回は8人となり、
ヴォーカリストに南アフリカ出身のシャキナーを起用するなど、
一部メンバーが変更されているようです。
前作のクレジットはアルファベット表記で書かれてありましたが、
今作はすべてゲエズ文字でクレジットされているので、
どのメンバーが代わったのか、突き合わせることができません。
前作のデビュー作は、ビル・ラズウェルがプロデュースし、
NYダウンタウン派のミュージシャンたちも起用して、
オルタナ色のあるロック・サウンドを生み出していましたけれど、
今回はそのようなオルタナ色はなし。
ストレートなヘヴィ・メタ調のロック・サウンドとなっています。
http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2013-07-03
今作の方が、カジュアルなジャノの姿なんでしょうね。
異邦人にはエグ味をおぼえるエチオピア旋法を使わずとも、
エチオピアらしいメロディ使いや手拍子のリズムを交えて、
マシンコ、クラール、ワシント、ケベロといった伝統楽器をカクシ味に使うのも、
あくまでも国内向けといったニュアンスが強く、
外国人リスナーなど意識していない自然な感じが、素直に聞けます。
ギンギンのメタルばかりでなく、アクースティック・ギターをメインに据えた、
シンプルなアメリカン・ロック調の曲などもあったりと、
メロディアスな楽曲をカラフルなプロダクションで楽しませてくれます。
今回のレコーディングとミックスはイタリアで行い、アメリカでマスタリングをしていて、
しっかり時間をかけて制作をしてることがわかります。
イニシャルで6万枚プレスというのだから、現地での人気のほどがうかがえる、
エチオ・ロック・バンドの快作です。
Jano "LERASIH NEW" Kistet no number (2018)