コロゴを世界に紹介するヨーロッパ人 ガイ・ワン
キング・アイソバの良きライヴァルで、 ボラ・ナフォのお師匠さんというガイ・ワンが、 ついにインターナショナル向けのフル・アルバムを出しました。 プロデュースを務めたのは、ロンドンのジャズ・ファンク・バンド、 ヘリオセントリックスのメンバー、マックス・ヴァイセンフェルト。 マックスが主宰するレーベル、ポリフォンからのリリースで、 共同プロデュースに、マックスが所属するもう一つのバンド、...
View Articleゴリゴリのドゴニール伝統派三姉妹 ザ・フリーエル・シスターズ
厳しい冬の寒さに音をあげ、春の訪れが恋しくなると聴きたくなるアイルランド音楽。 今年は、ドニゴールにルーツを持つ家系に生まれた、 グラスゴー出身の3人姉妹ザ・フリーエル・シスターズの新作が届きました。 アルタンのマレード・ニ・ウィニーが献辞を寄せていた4年前のデビュー作では、 ドニゴール訛りのフィドル・プレイに象徴されるとおり、 ゴリゴリの伝統音楽を聞かせてくれた彼女たちでしたけれど、...
View Article幻のミャンマー女性歌手 キンニュンイー
ミャンマーでのレコーディングを終えて帰国した井口寛さんから、 またまたお土産をいただいてしまいました。 いつもありがとうございます。大感謝であります。 ヴェテランの風格を思わす女性のカヴァー写真に、 誰だろう?と思ったら、なんと、キンニュンイー!!!!! 思わず、エクスクラメーション・マークをいっぱい付けてしまったのは、 ずいぶん昔にその名前を知れど、じっさいの歌声はずっと聞けないままだった、...
View Articleトローバの味わいを伝える伝統ソン デュオ・メロディアス・クバーナス、エリアデス・オチョアとクアルテート・パトリア
去年買い逃したまま、すっかり忘れていた1枚。 偶然店頭で見つけ、おお、そうだったと、あわてて手に取りました。 それがメロディアス・クバーナスを名乗るヴェテラン女性二人に、 ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブで名を上げたエリアデス・オチョアとの共演盤。 二人の女性の歌い口が、たまらなくいいんですよ。 ハモっているようないないような、微妙なハーモニー。 古いトローバのスタイル、ここにありですね。...
View Articleオリエンタリズム紙一重のフェイク・アラビック・ジャズ ヤズ・アハメド
不思議なムードを持ったアルバムですね。 バーレーン生まれ、イギリスで音楽教育を受けて、 ロンドンで活動中という、女性トランペッターのセカンド作。 アラビックなクォーター・トーンを奏で、妖艶なエキゾティズムをふりまく、 経歴そのまんまのアラビック・ジャズを聞かせます。 バス・クラリネットやヴィブラフォンの起用が効果を上げていますね。...
View Articleケーンの名盤登場 カウホン・パチャン
ヴィエンチャンの満月の夜。 どこからともなく聞こえてくるケーンの響きに吸い寄せられ、 音の主を探し歩いていくと、寺院の境内の脇でケーンを吹く男がいます。 身じろぎもせずに吹くかと思えば、 時にゆったりと身体を揺らしながら、 息継ぎもなしに、1曲5~6分に及ぶ長い曲を吹き続けます。 う~む、これがいわゆる循環奏法ですか。 一定の音量を保ったまま吹き続ける、その精度の高さに、...
View Articleニジェールのパワー・ロック タル・ナシオナル
痛快! 胸をすくとは、まさにこのこと。 これぞまさしく、ロックの高揚感でしょう。 ニジェールのタル・ナシオナル、インターナショナル・リリース3作目です。 13年のインターナショナル・デビュー作“KAANI” から、 15年の“ZOY ZOY” を経て今作と、コンスタントにアルバム制作を重ねて、 快進撃を続けているのは、嬉しい限りです。...
View Articleカビールのやるせない切なさ アムジーク
なんて泣ける歌が詰まったアルバムでしょうか。 カビールの歌は、涙の味がします。 人生の苦渋を移し替えたような、苦味のあるメロディ、 勝ちめのない勝負とわかっていても、闘わなければならない者を励ます歌。 そんなふうに感じるのは、ぼくだけでしょうか。 グッとくる男泣きの曲の数々に、すっかりマイってしまいました。 どうしてこんなに胸を打つメロディばかりが並んでいるんでしょう。...
View Article71歳タクシー・ドライヴァーの再起 ハイル・メルギア
なんと、ハイル・メルギアの新録の登場です! かつてハイル・メルギアが在籍していたワリアス・バンドで、 ともに鍵盤担当だったギルマ・ベイェネの復帰作が出たのが、ちょうど1年前。 http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2017-03-12 今度はハイル・メルギアが前線復帰するとは、なんだか感慨深いものがありますねえ。...
View Articleオプティミズムなポップが放つ希望 マフィキゾロ
マフィキゾロが帰ってきた! クワイトはもう下火になったとか聞いていたんですけれど、 南アへ足しげく通っている板谷曜子さんからお話を聞くと、 最近またクワイトが盛り上がりを見せているのだとか。 だからかどうかはわかりませんが、去年の11月にリリースされた クワイトの大スター、マフィキゾロの新作が、ごっきげ~ん ♪ 04年にメンバーの一人がソウェトの路上で射殺されるという痛ましい事件によって、...
View Article見逃していたビギン・ジャズの快作 アラン・ジャン=マリー
ジャズCDショップに足を向ける機会が、ずいぶん多くなった気がします。 この前、アウトレットのコーナーをパタパタとめくっていたら、 アラン・ジャン=マリーのビギン・ジャズのアルバムを発見しちゃいました。 あー、そういえば、だいぶ前にアラン・ジャン=マリーの69年デビュー作のCDが 再プレスされて出回っているのに気付いたのも、このお店だったっけか。...
View ArticleM-BASE の南アジア的展開 レズ・アバシ
2017年のジャズは、ヴィジェイ・アイヤーの“FAR FROM OVER” が ぶっちぎりのベストでしたけれど、 そのヴィジェイが参加したレズ・アバシの新作が、これまた快作じゃないですか。 レズ・アバシは、65年パキスタン、カラチの生まれ、 4歳の時に家族がロサンゼルスへ移住して、アメリカで育ったギタリストです。 インド移民2世のヴィジェイともども、...
View Articleオグン神に捧ぐ ボンガール
昨年、オリンダのアフロ・ブラジレイロ宗教音楽グループ、ボンガールの16年作を入手し、 デビュー作以来10年ぶりの再会にカンゲキしたばかりだったんですが、 はや17年リリースの最新作が届きました。 http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2017-06-02 今作はタイトルに示されるとおり、鉄の神オグンにまつわる歌を歌っています。...
View Articleショーロの醍醐味 ファビオ・ペロン
サンパウロの若手バンドリン奏者の3作目。 前2作目を試聴した時、大勢のゲストを迎えすぎていて、 主役の個性がぼやけ、捉えどころがなかったような記憶が残っています。 演奏内容もショーロというより、 ジャズ的なアプローチのインスト作品だったんじゃなかったっけ。 ま、いずれにせよ、その時は手を伸ばさず、やり過ごしてしまったんですが、 ファビオ・ペロンという名前は、しっかりと頭の片隅に残りました。...
View Article超弩級のカヴァキーニョ奏者 メシアス・ブリット
立て続けに、ショーロの新作であります。 今度はバイーアの若手カヴァキーニョ奏者のセカンド作。 14年のデビュー作で、目の覚めるような早弾きを披露して、 ショーロ・ファンの間で話題となった、メシアス・ブリットです。 あのデビュー作は良かったよねえ。 息つかせぬ高速パッセージを繰り出すバカテクぶりに、目がテンになりましたけれど、 アミルトン・ジ・オランダのようなショーロの枠をハミ出した、...
View Articleアニクラポを外しても正統なアフロビート シェウン・クティ
今のアフリカ音楽絶好調の頂点に、この男がいる。 胸を張ってそう言える、傑作です。 いや、ぼくが胸を張ったところで、しょうがないんですけれどもね。 08年のデビュー作“MANY THINGS” から数えて4作目。 デビュー作にして、父から譲り受けたアフロビートを完璧に蘇らせたシェウン。 アフロビートを継承する才能のない、兄の不甲斐ないアルバム(新作もダメ)に、 さんざん付き合わされてきただけに、...
View ArticleLPデビュー前の初期シングル編集盤 アインラ・オモウラ
ええぇ~??? デスクトップの画面に向かって、人前で大声あげちゃいましたよ(恥)。 エル・スール・レコーズの新入荷のページに載った、 アインラ・オモウラの“VOL.21”と書かれた見覚えのないCD。 http://elsurrecords.com/2018/03/05/ayinla-omowura-alujonu-elere/ 心の中で「なんじゃ、そりゃぁ!!!」と絶叫しながら、...
View Article進め! エチオ・ロック・バンド ジャノ
エチオピア初のロック・バンドと自他ともに認められるジャノの、6年ぶりセカンド作。 メタル・ギターがぎゅわんぎゅわんと鳴り響く、 様式化したロック・サウンドではありますが、 いやー、理屈抜き、キモチいいじゃないですか。 すがすがしいというか、胸をすきますよ。 前作ではメンバー10人だったのが、今回は8人となり、 ヴォーカリストに南アフリカ出身のシャキナーを起用するなど、...
View Article明朗明快にて無敵 アート・ファジル
シンガポールのシンガー・ソングライター、アート・ファジルのアルバムでは、 09年に出た“SYAIR MELAYU” が忘れられません。 かつてサンディーが歌った“Ikan Kekek” や、“Rasa Sayang” といった マレイシアやインドネシアの民謡を取り上げた企画作で、 アート・ファジルらしいフォーク・ロック的なプロダクションで歌ったアルバムでした。...
View Articleサンバにロック魂を注入して サンダミ
ここのところサンバ・ソウルの良作に恵まれていますけれど、 今度のは「ソウル」ではなく、「ロック」。 サンバとロックをクロスオーヴァーした痛快作です。 『サンバの100年』と銘打ち、 初のサンバとされる1917年ドンガ作の「ペロ・テレフォーニ」に始まり、 ノエール・ローザの“Com Que Ropa?”、 エリゼッチ・カルドーゾの名唱で知られる“Barracão”、 ジョルジ・ベンの“Mas Que...
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