エチオ演歌は人力演奏で ネッサネット・メレセ
いい女っぷりですねえ。 艶然とした笑みを浮かべる、エチオピアのヴェテラン女性歌手ネッサネット・メレセの新作。 若い頃のチャーミングな容姿から、なじみの店のママみたいな雰囲気に変わったとはいえ、 ネッサネットのCDカヴァーには、いつも男ごころをソソられますよ。 今作はタイトルにあるとおり、ネッサネットの過去の持ち歌のセルフ・カヴァー集。...
View Articleエチオピアン・レゲトン ナッティ・マン
エチオ・ポップはやっぱ人力演奏じゃなきゃ、といった矢先に、 こちらはバリバリの打ち込み系、レゲトンまでありのポップ・アルバムです。 エチオピアのレゲエ・シンガーでは、 アブドゥ・キアルを取り上げたことがありましたけれど、 http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2015-11-28 エチオピアのシンガーからレゲトンを聴くのは、初めてですねえ。...
View Article涙が枯れ果てるまで パウロ・フローレス
まさに、ヴェテランらしい余裕ですねえ。 アンゴラを代表するシンガー・ソングライター、 パウロ・フローレスの16作目となる新作は、 彼の持ち味であるデリケイトなソング・ライティングを、コクのあるノドで歌っていて、 あぁ、円熟したなあと、しみじみと感じ入れる傑作に仕上がっています。 最近はパウロ・フローレスの活躍ぶりが、いろいろと伝わってきますね。 サラ・タヴァレスの復帰作“FITXADU”...
View Article苦味あるソダーデ ティト・パリス
ティト・パリスの新作 !? うわー、ずいぶん久しぶりだなあ。 02年の“GUIHERMINA” は傑作だったよねえ。 え? あれ以来のスタジオ作になるの? それじゃあ、15年ぶりじゃない。 ティト・パリスは、カーボ・ヴェルデのシンガー・ソングライター。 若い頃からギタリストとして才覚を表した人で、 19歳の時、セザリア・エヴォーラのバンド・メンバーに選抜され、...
View Articleアフリカ音楽を体得した初のジャズ・ミュージシャン ベンクト・ベリエル
こりゃ、驚き。 ベンクト・ベリエルの87年作“PRAISE DRUMMING” が、 オリジナル原盤所有のスウェーデンのレコード会社から、まさかのCD化。 「ベングト・ベルガー」と書かれることがもっぱらな ベンクト・ベリエルは、スウェーデン人ジャズ・ドラマー。 二十代の時、インド音楽を学びたくて、65年に北インドをヒッチハイクしてタブラを習い、...
View Articleマサダ・ブック2最終章 メアリー・ハルヴァーソン
去年の夏、メアリー・ハルヴァーソンを知って大ファンになり、 ファイアーハウス・12の過去作を一気にまとめ買いし、 一時期メアリーのギター漬けとなる日々が続いておりました。 http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2017-08-13 何かのきっかけで、すでにキャリアのある人に惚れ込み、 その後その人の旧作をいろいろ聴いたところで、...
View Article集団即興の快感 ティム・バーン
おととしだったか、ジャズCDショップへ行ったところ、 ECMのコーナーが出来ていて、へーえ、ECMがまたそんな人気なのかと、 すっかりジャズ事情に疎くなった自分を思い知らされたものでした。 あらためて、そのコーナーでECMの作品を眺めていたら、 ティム・バーンの名前を見つけて、びっくり。 フリー・インプロヴァイザー、NY・ダウンタウン派の首領ティム・バーンが、 今はECMから作品を出しているのか!...
View Article理想のラッパ ウディ・ショウ
悶絶。 やっぱ、ウディ・ショウのラッパ、かっこえ~。 ジャズ・トランペットの理想形ですね。 ビル・エヴァンスやウェス・モンゴメリーなど、 ジャズ・レジェンズの未発表音源の発掘が続く今日この頃。 いくらジャズが面白くなってきたといっても、 いまさら、この時代のジャズを聞き返す気にはならないので、 ずっとやりすごしていたんですけれど、さすがにリアルタイムで聴いていた...
View Article情熱のピアニズム グレゴリー・プレヴァ
やっぱり観てみなきゃ、わからないもんです。 マルチニーク出身の若手ジャズ・ピアニスト、グレゴリー・プリヴァ。 1月19日、丸の内コットンクラブ一夜限りのショウ、セカンド・ステージ。 この人の音楽性が、ようやくわかった一夜でした。 当初、マラヴォワのピアニスト、ホセ・プリヴァの息子さんということで、 12年のデビュー作を大期待で聴いてみたわけなんですが、 正直、期待はずれでした。...
View Article真冬のピッツィカ カンツォニエレ・グレカーニコ・サレンティーノ
朝、玄関を開け、一歩外に踏み出した途端に包まれる冷気が、 スキー場か!という今日この頃ですけれど、 そんなシバれる頃になると、身体が欲する、南イタリアの音楽。 ナポリのタランテッラを聴くのが、ぼくは決まってこの季節なんですけど、 今年はサレントのピッツィカが届きました。 アドリア海とイオニア海に突き出ているサレント半島、...
View Articleミャンマー・エレクトロ・ヒップホップ ターソー
昨年暮れのメーテッタースウェの新作の記事の最後に、 「カッティング・エッジなんて価値観とは、正反対のポップスがここには存在する」 と書きましたけれど、それじゃあ、ミャンマーのカッティング・エッジといえば、 それは間違いなく、ターソーでしょうね。 80年ヤンゴン生まれという、ヒップホップ世代ど真ん中のターソー。 軍事政権下のミャンマーで、アンダーグラウンドなヒップホップ・ユニットを結成して...
View Article没後4年目に完成した傑作 ミカヤ・ベハイル
ネッサネット・メレセの新作、聴けば聴くほどイイですね。 http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2018-01-06 年末年始、絶賛ヘヴィロテ中、まだまだ続きそうです。 年末に2017年のベスト10を選び終えてから聴いたもので、 もう1枚も替えたくなかったから、ブログの記事を年始に後送りして、 2018年のベストに入れようという、セコいまねもしたりして。...
View Articleヴェトナム演歌の歌謡ショー フーン・トゥイ
ひさしぶりに聴く、越境ヴェトナム人歌手の新作です。 というと、お、ニュ・クイン!なんて思われる方もいるでしょうが、 残念ながらそうじゃないんだな。 フーン・トゥイ、4年ぶりのアルバムです。 みんなが待ち焦がれるニュ・クインの新作の方は、 ちっとも出る気配がありません。 ステージ・シンガーに収まってしまったみたいで、残念すぎます。 フーン・トゥイの方も、13年の前作から久しぶりのリリースで、...
View Articleイスラエル人ロッカーと古典アラブ歌謡 ドゥドゥ・タッサ&ザ・クウェイティス
写真家/音楽評論家の石田昌隆さんが、 「ミュージック・マガジン」1月号に書かれたイスラエル訪問記は、 ひさしぶりに音楽好奇心を思いっ切りくすぐられる、刺激的な読み物でした。 最近何かと話題になるイスラエルですけれど、 石田さんが取材されたドゥドゥ・タッサという音楽家にガゼン興味がわいて、 記事に紹介されていたCD2枚を、イスラエルにさっそくオーダー。...
View Articleインターネット世代の作法 セフィ・ジスリング
やっぱり書いておこうかな。 なんだかんだで、もうふた月近く、ずっと聴いてるんだから。 去年いくつか買ってみたイスラエル音楽の新潮流が面白かったことは、 すでに書いたので、これはもういいかと思ったんですけれども。 イスラエルで引く手あまただというトランペッター、セフィ・ジスリングのソロ・アルバム。 ロウ・テープスのプロデューサー、リジョイサーとともに作り上げた作品です。...
View Article輝くグリオ声 アイダ・サンブ
セネガル期待の新人アイダ・サンブの新作が届きましたよ。 デビュー作から5年ぶりとなる、セカンド・アルバムです。 http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2015-11-22 グリオの出自をくっきりと示す、鋼のように強い声には少し苦味もあって、 この声だけで、ご飯3杯いけますみたいな、味のあるいい声ですねえ。...
View Articleキュートなヨルバ・ポップ シミ
いやぁ、か~わいぃ~♡ めちゃくちゃチャーミングな歌声を聞かせてくれるのは、 ナイジャ・ポップの女性シンガー・ソングライター、シミ。 声だけ聴いていると、ティーンかしらと思ってしまうんですけれど、 88年レゴス生まれ、もう29歳なんですね。 08年にデビュー作を出し、昨17年にようやく、 本セカンド作のリリースにこぎつけたとのこと。 12年から17年の間に14曲のシングルをリリースしていますが、...
View Article1980年/大学4年生/六本木のディスコ グルーヴェリア
サンダリア・ジ・プラッタにガブリエル・モウラと、 昨年暮れからサンバ・ソウルの当たり盤が続いてますけど、 今度は、なんとまあ久しぶり、グルーヴェリアの新作ですよ! いやあ、続くときは続くもんだ。 05年のデビュー作以来のアルバムと思ったら、 09年にライヴ盤をCDとDVDの両方出していたんですね。それは聞き逃しちゃったな。 でも、まあいいや、ライヴ盤は。やっぱり、スタジオ作ですよ。...
View Article超絶カッコいいブラジリアン・ジャズ ディアンジェロ・シルヴァ
カッコいい! カッコよすぎる!! 憎たらしいくらいカッコええ~!!! バカ丸出しであります。「カッコいい」以外、なんも出てこない。 ブラジルの新人ジャズ・ピアニストのデビュー自主制作盤、 テナー・サックス、トランペット、ギターにピアノ・トリオという編成です。 無理して言葉をひねり出せば、変拍子使いの作曲能力が、もうただごとじゃない。...
View Article想い出のトバ湖 ムルニ・サーバキティ
スマトラ島北部トバ湖周辺に暮らすバタック人の音楽というと、 ぼくは大学3年生の時に地理学者で民俗音楽研究家の 江波戸昭先生のゼミ旅行で観た、 バタック人グループをどうしても思い出さずにはいれません。 当時江波戸先生は、学習院大学で地域経済学を教えていらして、 地域経済論ゼミの海外調査という名目で、 先生が関心のある民俗音楽を探訪するというゼミ旅行をしていたのでした。...
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