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M-BASE の南アジア的展開 レズ・アバシ

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Rez Abbasi  UNFILTERES UNIVERSE.jpg

2017年のジャズは、ヴィジェイ・アイヤーの“FAR FROM OVER” が
ぶっちぎりのベストでしたけれど、
そのヴィジェイが参加したレズ・アバシの新作が、これまた快作じゃないですか。

レズ・アバシは、65年パキスタン、カラチの生まれ、
4歳の時に家族がロサンゼルスへ移住して、アメリカで育ったギタリストです。
インド移民2世のヴィジェイともども、
南アジアにルーツを持つジャズ・ミュージシャンですが、
本作にはもう一人インド系アメリカ人サックス奏者のルドレシュ・マハンサッパも参加して、
M-BASE の南アジア的展開とでも呼びたいジャズを繰り広げています。

変拍子にアブストラクトな旋律、しっかりと構成されたコンポジションは、
まさしくM-BASEゆずり。ドラマティックな展開をみせる曲の中で、
緻密な演奏ぶりと豪快なインプロヴィゼーションの同居が聴きどころですね。
長尺のトラックの合間に差し挟まれた、短いギター・ソロ演奏も、
まるでラーガを聴くかのようで、これまたエイジアン・M-BASE的といえます。

曲中でたえずリズムが変化していき、
テンポも早くなったり遅くなったりを繰り返す不安定さが、すごくスリリングです。
エンディングも唐突といってもいいくらい、すぱっと終わり、
もったいつけないところが、すごくいいな。

レズ・アバシのギターは、インプロヴィゼーションで際立たせるより、
トータルなサウンド・メイキングに注力しているといった印象。
むしろソロで活躍するのは、ルドルシュのアルト・サックスの方で、
ぶっといチューブからぶりぶりと中身を押し出してくるような、
粘っこいトーンに魅力があります。

ルドレシュ・マハンサッパにレズ・アバシ、ドラムスのダン・ワイスの3人は、
インド=パック・コアリションとしても活動してきた仲だけに、
息の合ったプレイを聞かせていて、
ゲストで参加したチェロの弓弾きが、サウンドにアクセントを与えています。
むしろここでは、ヴィジェイ・アイヤーのピアノが控えめで、
バックに回ってサウンドの厚みを付ける引き立て役に終始しているといえそうです。

Rez Abbasi "UNFILTERED UNIVERSE" Whirlwind Recordings WR4713 (2017)

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