キング・アイソバの良きライヴァルで、
ボラ・ナフォのお師匠さんというガイ・ワンが、
ついにインターナショナル向けのフル・アルバムを出しました。
プロデュースを務めたのは、ロンドンのジャズ・ファンク・バンド、
ヘリオセントリックスのメンバー、マックス・ヴァイセンフェルト。
マックスが主宰するレーベル、ポリフォンからのリリースで、
共同プロデュースに、マックスが所属するもう一つのバンド、
ザ・ホワイトフィールド・ブラザーズのメンバーである
ベンジャミン・シュピッツミューラーが名を連ねています。
マックスは、10年に初めて旅したガーナでガイ・ワンのCDを入手して驚き、
ガイ・ワンを探しにガーナへ再び訪れ、親交を持つようになったといいます。
13年にはガイ・ワンをベルリンへ招いてレコーディングを行い、
ポリフォンの第2弾リリースとなるシングルを出して、
ガイ・ワンの名が知られるようになりました。
その後、マックスがガーナへ赴いたり、ガイ・ワンがベルリンへやってきたりしながら、
コンサート活動を続け、こうした長い協働の成果が、
今回のフル・アルバムにつながったんですね。
ホーン・セクションを加えた曲など、伝統的なコロゴとはだいぶ趣の異なる
分厚いサウンドに演出した曲でも、コロゴが弾き出す強靭なビートは揺るぎなく、
マックスがこの音楽をしっかりと理解したプロデュースをしていることがわかります。
キング・アイソバのグリッタービート盤もそうでしたけれど、
カウンターパートのヨーロッパ人が、どれだけその音楽を理解しているかどうかに、
コラボの成否はかかっているといって間違いありませんね。
アイソバを世界に紹介したのが、オランダの越境オルタナ・パンク・バンド、
ジ・エックスのフロント・マン、ジアであることに気付いたのは、
だいぶあとになってからのことでした。
“WICKED LEADRERS” を入手した時も、なぜオランダ盤と思ったものでしたけれど、
マッカム・レコーズは、ジアが09年に設立したインディ・レーベルだったんですね。
ヘリオセントリックスとジ・エックスといえば、
前者はムラトゥ・アスタトゥケ、後者はゲタチュウ・メクリヤとの共演で注目されたとおり、
エチオピア音楽との接近が目立ちましたけれども、
それぞれのメンバーがコロゴに熱を上げたというのは、
面白い偶然ですね。
Guy One "#1" Philophon PH33002CD (2018)