セルジオ・カシアーノがプロデュースした、
オリンダのココ名人のアルバムが、もう1枚入っています。
メストリ・フェルージェンことウィルソン・ビスポ・ドス・サントスの11年作。
こちらは2作目で、07年にデビューCDを出していますが、ぼくは未聴です。
残念ながら16年に亡くなったとのことで、このアルバムが遺作となったようですね。
ゼカ・ド・ロレッチは、打楽器とコーラスのみの
オーセンティックなココに徹していましたけれど、
メストリ・フェルージェンはショッチ、バイオーン、サンバなども歌っていて、
伴奏にもギター、バンドリン、トロンボーンが加わり、
華やかなノルデスチ・サウンドが楽しめます。
のんしゃらんとした、あけすけな歌いぶりが、いいじゃないですか。
酔っぱらいの歌のようにも聞こえなくはない、自由さがすがすがしく、
音程の怪しさすら、愛おしく聞こえます。
飾りのない古老の丸裸の歌を、若々しい男女のコーラスが守り立てていますよ。
「ラメント」と題されたスローの自作曲など、
バンドリンがむせび泣くオブリガードを奏でる、泣きのメロディなんですが、
そんな情感など無視するかのように、フェルージェンの歌いぶりは武骨そのもの。
やけっぱちな歌いっぷりから、やるせなさを醸し出すのだから、年輪のなせる技ですねえ。
こういう味わい深さは、古老の域に達しなければ、出るもんじゃありません。
自作以外では、伴奏陣のセルジオ・カシアーノやジュリアーノ・オランダの曲を歌うほか、
ジェラルド・マイアの曲が光ります。
https://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2012-01-06
07年のデビュー作も聴いてみたいですねえ。
Mestre Ferrugem "FERRUGEM" Sambada no number (2011)