センスのいいジャケットに目を引かれました。
おお、ジュリアン・レイジが参加しているのかと、
試聴機のヘッドホンをつけて、ボタンを押すと、
ジャーーーーーンと、ギターのカッティング一発。
はやここで、胸が高鳴っちゃいました。
ベース・ラインが走り出すと、ギター2台が後を追うように走り出します。
うぉー、カッコいい。
ネルス・クライン? 誰、それ?
ウィルコのギタリストなの? ウィルコ、聴いたことないしという、
あいかわらずのしょーもないロック音痴でありますが、
こんな即興系のカッコいいギター弾く人なのね。
ジョン・ゾーンやフレッド・フリスを思わせるアヴァンなギターに、即トリコとなりました。
ジュリアン・レイジとのツイン・ギターで、
堂々と個性を競い合ってるんだから、すごい実力じゃないの。
壊れた感じのアヴァンなロックから美しいスロー、
さらにインド音楽の影響を感じさせる曲など、楽曲の幅広さも魅力です。
それに合わせてギターのサウンドも多彩で、エフェクター使いは控えめですけれど、
ハーモニクス奏法など、引き出しの多さにキャリアが裏打ちされています。
カーラ・ブレイの‘Temporary’ のような不定形なリズムにのせて、
アブストラクトなラインを作るのもうまいし、この人、ほんとにロック・ギタリストなの?
なんか、即興系ギタリストとしか思えないんですけど。
あわててチェックしてみたら、なんとぼくより二つも年上。
おいおい、ヴェテランじゃない。ジュリアン・ラージと親子ほども年が違うぞ。
やっぱり出身はジャズだったんですね。
チボ・マットの本田ゆかさんの旦那さんだったとは。
ティナリウェンの11年作“TASSILLI” の1曲目でギター弾いてるのも、彼だったのか。
14年にはジュリアン・レイジとのデュオ作も出してたのかあ。完全に見逃してるな(恥)。
お互いの手の内を理解した、よく通じ合っているプレイは、そのせいなんですね。
緊張と調和も見事な、ツイン・ギター・カルテットの魅力に富んだ傑作、
このメンツでライヴ観たいです。
The Nels Cline 4 "CURRENTS, CONSTELLATIONS" Blue Note 00602567429104 (2018)