すげーぞ、イエメン・ブルース!
スタジオ作の“INSANIYA” を上回る熱量のライヴ盤に、ドギモを抜かれました。
収録されたのは、12年10月18日テル・アヴィヴのザッパ・クラブで行われたコンサート。
イエメン系ジューイッシュのリーダー、
ラヴィッド・カハラーニーのがらっぱちなヴォーカルに挑む、
バンドのフィジカルなエネルギーがハンパない、とてつもないライヴです!!
サックス、トランペット、トロンボーン、フルートの4管の暴れっぷりに加えて、
チェロとヴィオラが激しい弓弾きで高速グルーヴを疾走させるんだから、
心臓バクバクもの、息も上がろうというもの。
こりゃあ、もうダンスせずにはおれないでしょう。
ラヴィッドが弾くのがウードではなく、ゲンブリというのがユニークなグループで、
かつてのグナーワ・ディフュジオンを思わせます。
マリエム・ハッサンやオキシモ・プッチーノがゲスト参加した、
ビル・ラズウェル・プロデュースの15年スタジオ作でも、
彼らの野性味溢れるミクスチャー・サウンドは、十二分に発揮されていましたけれど、
ライヴ・バンドとしての実力は、スタジオ作をはるかに凌ぐスケールですね。
メンバーは腕っこきのメンバー揃い、ジャズ、ファンク、ロックを吸収した音楽的素養に、
アレンジやプロデュース能力も高いとくるんだから、
迫力に富んだ弾けるバンド・サウンドもよく統括されているわけです。
インプロヴィゼーションとの整合性もよく、大暴れしているようで、
しっかりとリハーサルを積んでいることがわかりますね。
アヴィシャイ・コーエンとの共演で知られるイスラエルきっての実力パーカッショニスト、
イタマル・ドアリの熱のこもったパーカッション・ソロもあれば、ウード1本をバックに、
ラヴィッド・カハラーニーが奔放なヴォイス・パフォーマンスを聞かせる7曲目など、
ライヴならではの聴かせどころもあって、
2年前の来日を見逃したのがつくづく悔やまれます。
Yemen Blues "YEMEN BLUES LIVE" Chant CR1801YE (2018)
Yemen Blues "INSANIYA" Inzima no number (2015)