アンゴラのヴェテラン・シンガー・ソングライター、パウロ・フローレスが
09年に出した3枚組の力作“EXCOMBATENTES” がようやく手に入りました。
12年に出た“EXCOMBATENTES REDUX” は、本作の抜粋ヴァージョンで、
あー、全編聴きたいなあと、長年願っていたんですよ。
10年も前の作品で、入手はもう不可能だろうとすっかり諦めていたんですが、
よく残っていたもんです。うれしー♡
3枚のディスクは、それぞれ「旅」「センバ」「島」と題され、
トール・サイズのCDブックに収められています。
パウロ自身が音楽監督を務めるほか、
ブラジルのプロデューサー、シコ・ネヴィスを迎えて制作されました。
シコ・ネヴィスといえば、レニーニの97年ソロ・デビュー作の
プロデュースを手がけたことなどで知られていますね。
レコーディングは、ルアンダ、リオ・デ・ジャネイロ、リスボンと、
アンゴラ、ブラジル、ポルトガル3か国に渡って行われていて、
まさしくルゾフォニア(ポルトガル語圏)・コネクションといえます。
ブラジル録音では、ベースのアルトゥール・マイア、チェロのジャキス・モレレンバウム、
ピアノのダニエル・ジョビン、クラリネットのパウロ・モウラ、ラベッカのシバ、
ピファノとサックスのカルロス・マルタといった名うてのミュージシャンたちが参加。
その名をよく知るブラジル音楽ファンなら、おおっ!と注目せずにはおれないでしょう。
2枚目がセンバと題されているとおり、センバのリズムの曲が多いものの、
3枚ともMPBならぬMPAと呼ぶべきサウンド・プロダクションで、
パウロの詩的な美しさを湛えたコンポーズを引き立てています。
パウロの自作曲以外では、ユリ・ダ・クーニャとデュエットした、
ダヴィッド・ゼーの往年の曲‘Rumba Nza Tukiné’ や、
マイラ・アンドレーデとデュエットしたヴィニシウス・ジ・モライスと
バーデン・パウエルの名曲「プレリュードのサンバ」がハイライトですね。
もちろんこれらは抜粋盤にも収録されていましたけれど、
そこから漏れた曲ではドロドロのブルースの‘Eu Quero É Paz’ や、
アコーディオンとホーン・セクションを配したダンサブルなセンバの‘Contratempo’、
カーボ・ヴェルデのダンス・リズム、フナナーの‘Funana Di Nha Filo’ など、
聴きものが目白押しで、やっぱりこの3枚を聴けばこそ、
パウロのルゾフォニア音楽絵巻を堪能することができます。
Paulo Flores "EXCOMBATENTES" LS Produções no number (2009)
Paulo Flores "EXCOMBATENTES REDUX" Terra Eventos 3700409810480 (2012)