そう、この声、ですよ。
アンジー・ストーンの魅力といえば、やっぱり苦みのあるこの声。
いい声ですよねえ、安心して身を委ねられます。
そして、たぐいまれなる才能を感じさせるのが、ディクションの良さ。
言葉を自在にリズムへ乗せていくスキルは、
デビュー当初から変わらぬ、アンジー独特のセンスを感じさせます。
そのマナーは、ブラック・ミュージックとしてのソウルを
体現したオーセンティックなもので、
もちろんゴスペルを土台としてるのは言うまでもありません。
アンジー・ストーンといえば、ディアンジェロ絡みを抜きにしても、
常にネオ・ソウルの括りで語られてきましたけれど、
ぼくは、クラシック・ソウルの伝統を継いだ人と受け止めていて、
そこにずっと惹かれ続けてきました。
もちろん、そのうえでヒップホップR&Bにも柔軟に応えられるところが、
彼女の強みでもあるわけなんですけれどね。
ネオ・ソウル登場時、そのシーンに乗れなかったぼくが、
アンジーには強く反応できたのも、そんな彼女の資質ゆえです
時代に左右されずに、トレンドを追うこともなく、マイ・ペースで歌いながら、
しっかりと時代と共振することのできる才能、その腰の据わった姿勢が、
新作でも貫かれていますよ。
タイムレスな魅力を放ってきたレディ・ソウル、今作も会心の出来です。
Angie Stone "FULL CIRCLE" Conjunction Entertainment/Cleopatra CLO1326 (2019)