ミャンマーの伝統歌謡界に、見目麗しい姉妹デュオが登場しましたよ。
その名は、イーイーチョンとイーイーモン。
どっちがどっち?と最初わからなかったんですが、
最新作の写真右側、八重歯のある方がお姉さんのイーイーモンで、
写真左側が妹のイーイーチョン。
パッケージがヴェトナム並みの美麗な装丁なうえ、DVD付きなのには驚かされました。
ついこの前まで、ソフトケースにCD-Rがスタンダードだったミャンマー盤が、
突如高級感溢れるホルダーケース仕様となったのには、こりゃ、一体どうしたことかと。
ミャンマー経済の内需好調の様子が、こんなところにも現れているようですねえ。
お隣タイではCD生産が激減しているのに、皮肉なことです。
で、中身の方なんですが、
全編ミャンマータンズィンなんだから、万歳三唱もの(はしゃぎすぎ)。
ラスト1曲のみ、ギター、ベース、キーボード、ドラムスのバンドをバックにした
ポップ・ナンバーで、伝統歌謡ファンにはたまらない内容となっています。
二人のデュオあり、それぞれソロで歌う曲ありで、二人とも歌唱力は高いんですけれど、
とりわけイーイーチョンの柔らかなコブシ使いと、
ハリのある凛とした発声の良さは、飛び抜けています。
観客なしの会場でのライヴを撮影したDVD『ライヴ・ショウ』を観ると、
フネーを含むサイン・ワイン楽団4人に、
5人のホーン・セクション(トランペット、テナー、バリトン、
アルト・サックス、チューバ)に、6人のストリング・セクション、
ピアノ、ギター、ベース、ドラムスというゴージャスなバック。
しっかりとしたアレンジがなされていて、
一流の音楽家たちを起用していることがうかがわれる演奏内容です。
1曲ごとにお召し替えする二人も見どころですね。
いやあ、すごい新人が出てきたもんだと思ったら、
7月に出たばかりのこの新作は、すでに3作目だそうで、
15年にデビュー作、16年に2作目を出していることが判明。
早速そちらも手に入れてみると、なんとこの2作もDVD付きなのだから、ビックリです。
デビュー作からこの力の入れようなのだから、二人への期待の大きさがわかりますね。
しかもVCDじゃなくて、DVDというのは、ミャンマーでは破格でしょう。
デビュー作は、オープニングから前半で、
サイン・ワインのアンサンブルが加わったタンズィンを聞かせるものの、
ほとんどはポップ・ナンバーが中心。
まだ伝統歌謡一本で売り出すのには、迷いがあったようですね。
DVDを観ると、ポップ曲がMVで、タンズィンはライヴ・ショウ仕立てとなっていて、
なんと、イーイーチョンがサイン・ワイン(パッ・ワイン)を叩きながら
歌うシーンもあります。
あてぶりかと思いきや、サイン・ワインを叩く手元がはっきりと映っているので、
本当にサイン・ワインを演奏できるみたいですよ。スゴいなあ。
2作目になると、ミャンマー音階が顔を出さない西洋スタイルのポップ曲は2曲に減り、
ほかはすべてバンド・スタイルのポップなメロディと行き来する
折衷スタイルのミャンマータンズィン。しかも、タンズィンを作曲しているのは、
ミャンマー伝統音楽界の大物セイン・ムーターなのだから、びっくりです。
姉妹で2作を出したあと、妹のイーイーチョンの方は、ソロ・アルバムを2作出しています。
CDが入手できずVCDを入手したのですが、“HLEL YIN TAW” は伝統歌謡アルバム、
“U LAY GYI” がポップ・アルバムとなっていました。
こうしてみると、レコード会社を変えて出した最新作は、
伝統歌謡路線にしっかりと軸足を据えて制作したものだということがわかります。
サイン・ワイン楽団も、セイン・ムーターの息のかかった
名手たちが揃っているんじゃないでしょうか。
メーテッタースウェ、キンポーパンチ、トーンナンディなどの少女歌手に加え、
姉妹デュオの登場と、ミャンマー伝統歌謡は花盛りですね。
Ei Ei Chon & Ei Ei Mon "YINTHAEKA GANOWIN THAYMYAR" Man Thiri no number (2019)
Ei Ei Chon & Ei Ei Mon "MYINT MO PHAY PHAY" Yatanasein no number (2015)
Ei Ei Chon & Ei Ei Mon "A PYO TAW GAN BI YA" Yatanasein no number (2016)
[VCD] Ei Ei Chon "HLEL YIN TAW" Yatanasein no number (2018)
[VCD] Ei Ei Chon "U LAY GYI" Yatanasein no number (2018)