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シュヴァル・ブワとトゥバドゥの出会い デデ・サン=プリ

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Dédé St Prix  KOKTEL CHOUVAL BWA.jpg

デデ・サン=プリの新作が到着。
昨年の最高傑作から、また一歩足を踏み出しましたね。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2019-04-19

シュヴァル・ブワを起点に、マルチニークの大衆芸能を拡張し、
たゆみなく更新し続けるデデ・サン=プリらしい仕事ぶりが、
今作でも見て取ることができます。
これほど逞しいマルチニークの伝統音楽家は、デデをおいて他にいませんね。
毎回チャレンジングな試みにトライしていて、
けっしてひとつの場所にとどまることがありません。

Les Freres Dodo  MUSICIEN PA GUIN DOUNA MARIÉ.jpg   Les Frères Dodo  SOUFRI POU GENYEN.jpg

新作は、ハイチのトゥバドゥ・グループ、レ・フレール・ドドーの元ギタリスト、
ルドヴィック・アニゼットとの共同プロジェクトで、
ハイチのトゥバドゥとシュヴァル・ブワを融合させるチャレンジをしています。
同じフレンチ・カリブの古層で繋がっている音楽同士、
さすがにまったく違和感なく結びついていますね。

今回も、生音中心のパーカッシヴなグルーヴをいかし、
フルートやトロンボーンの管楽器やヴァイオリン、バンジョーなどの弦楽器を絡ませ、
ヌケのいいサウンドを聞かせています。
控えめながら打ち込みの処理も効果的で、デデの職人技を感じますね。

Roland Pierre-Charles  ACCORDÉON DES ANTILLES.jpg

バックで注目は、昨年10月25日に71歳で亡くなった、
ロラン・ピエール=シャルルがアコーディオンを演奏していることでしょう。
おそらく、ロランのラスト・レコーディングになったんじゃないかな。
ロランは、70年代のマルチニークを代表するカダンス・バンド、
ペルフェクタでピアニストとして活躍した人。
ぼくが忘れられないのは、アコーディオンでビギンとマズルカを演奏した
78年の名作で、あのアルバムを思わすアコーディオンが聞けます。

本作のトゥバドゥの歌い口に、カリブの古層から、
現代のヒップ・ホップへジャンプするダイナミズムを連想するのは、ぼくだけでしょうか。
カリブで産み落とされたポピュラー音楽の種子、
カレンダをタイトルとした曲に聞かれるとおり、
伝統を過去の雛形ではなく、発展させた型として提示する、デデらしい意欲作です。

Dédé St Prix "KOKTEL CHOUVAL BWA" Aztec Musique CM2703 (2020)
Les Freres Dodo "MUSICIEN PA GUIN DOUNA MARIÉ" Chancy CRCD8028 (1985)
Les Frères Dodo "SOUFRI POU GENYEN" Hibiscus 20415-2 (2004)
Roland Pierre-Charles "ACCORDÉON DES ANTILLES" 3A/Hibiscus 191164-2 (1978)

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