久しぶりにカーボ・ヴェルデ現地産CDをチェックしてみたら、あるわ、あるわ、良作が。
一番の注目は、アッソル・ガルシアでしたけれど、
06年のデビュー作が傑作だったトー・アルヴェスのセカンドが出ているのを、
遅まきながら発見しました。
う~ん、ジャケット・デザインは、いかにも自主制作らしいローカルな仕上がり。
デビュー作はそれなりにアカ抜けてたのになあ。
そのデビュー作については、10年前にも記事にしましたけれど、
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2010-04-26
その時にやらかしてしまったことを、のちのち気付きました。
名前のカナ読みが間違いだったんですよねえ。
「アルヴィス」ではなく「アルヴェス」が正解。
ついブラジル語で読んでしまう悪癖が出てしまいました。申し訳ありません。
拙著『ポップ・アフリカ800』の表記も併せ、ここに謹んで訂正させていただきます。
間違いに気付かされたのは、
『アフリカン・ポップス! 文化人類学からみる魅惑の音楽世界』
鈴木裕之/川瀬慈編・著(明石書店、2015)がきっかけ。
京都大学の青木敬さんがカーボ・ヴェルデ音楽の論考を執筆していて、
8枚のCDを紹介したディスク・ガイドが最後に載っていたんですけれど、
その1枚がトーのデビュー作だったんですね。
このCDに言及したテキストなど、お目にかかったことがなかっただけに、
カーボ・ヴェルデ音楽を代表する1枚に選んだ慧眼に思わずはしゃいだら、
「アルヴェス」と書かれているのを見て、
うわー、やっちまった!と天を仰いじゃいました(恥)。
10年前の記事にも書きましたが、トー・アルヴェスは、
セザリア・エヴォーラのバックでカヴァキーニョを弾いていた演奏家。
アルヴェス家はカーボ・ヴェルデ有数の音楽一家で、
ヴァイオリン奏者の父ジョンジーニョ・アルヴェスのもと、
トーのほかキムとカコの息子たちは、
それぞれ弦楽器のマルチ奏者に育ったんですね。
キム・アルヴェスは、アメリカでプロデュース業も学び、
カーボ・ヴェルデ伝統ポップの舞台裏を支える重要人物となっています。
先のアッソル・ガルシアの2作のプロデュースを務めていたように、
キムが手がけた作品は軽く100を超えるといいます。
本作はそのキムが各種弦・鍵盤の多数の楽器を演奏するほか、
管・弦を含むアレンジを施していて、カコもギターで参加しています。
全曲トーの自作曲で、モルナ、コラデイラなどカーボ・ヴェルデの伝統歌謡に沿った
カラフルなレパートリーを歌っています。
ああ、それにしても、いいシンガーだよなあ。
デビュー作と変わらぬダンディな甘いヴォーカルに、ウットリしてしまいました。
CDは日本に入りそうにないし、配信もないのは残念すぎます。
Tó Alves "BENSON" no label no number (2013)