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サロンの香り豊かなヴァイオリンの調べ ジェジーニョ

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Djedjinho  AO VIVO EM LISBOA.jpg

貴重なリイシュー作も見つけましたよ。
1912年、カーボ・ヴェルデのブラヴァ島生まれというヴァイオリン奏者、
ジェジーニョことジョゼ・ゴメス・ダ・グラサの56・64年録音です。
15年に出た自主制作盤で、ルサフリカ配給というクレジットがあるものの、
ネット検索しても配給された形跡はなく、まったく見たことがないCDです。

タイトルによれば、内容は64年にリスボンで録られたライヴ録音で、
最後に56年にブラヴァ島で録音された3曲が追加収録されています。
ライナーを読むと、ジェジーニョの録音は、ライヴと自宅での演奏が
フィルムやテープで残されているのみで、スタジオ録音は存在しないとのこと。
本作もそうしたプライヴェートに残された録音を復刻したものらしく、
カーボ・ヴェルデ音楽のもっとも古い録音を聴くことができます。

カーボ・ヴェルデ音楽の古い録音といえば、セザリア・エヴォーラが62~64年に
ミンデーロ市のラジオ局へ残した録音が復刻されたことがあるくらいで、
植民地時代のカーボ・ヴェルデには、レコーディング・スタジオはなかったんでしょうね。

ジェジーニョは、12弦ギターを弾いていた父親の影響から、父親のバンドが演奏する
モルナ、コラデイラ,、マズルカといった伝統的なカーボ・ヴェルデ音楽に興味を持ち、
9歳からヴァイオリンの演奏を始めるようになったといいます。
その後、ブラヴァ島のダンス・パーティになくてはならないヴァイオリンの名手となり、
歌手や作曲家としても名声を残しました。
ブラヴァ島民の多くがアメリカへ移民したように、
ジェジーニョも63年にアメリカへ移住し、
カリフォルニアで演奏活動を続け、その後ニュー・イングランドに移り、
94年に81歳で亡くなっています。

64年録音は、ヴァイオリン2、ギター2の弦楽四重奏で、
モルナ、コラデイラ、マズルカ、ヴァルサなどのレパートリーを演奏しています。
演奏曲はブラヴァ島で生まれた曲が多いのか、
ブラヴァ島が生んだ歴史的な名作曲家、エウジェーニオ・タヴァーレス作の5曲のほか、
先日記事にしたアッソル・ガルシアのモルナ・ブラヴァ集のオープニング曲、
‘Na Caminho Di Djabraba’ も演奏されています。
ラスト3曲の56年録音は、音質が貧弱ですけれど、
歌手をフィーチャーしていて、優雅で快活なサロン風の演奏が楽しめます。

Djedjinho "AO VIVO EM LISBOA -1964" no label LA0002

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