「アルジェリアのミュージックホール」。
う~ん、なんて匂い立つようなタイトル。
聴いてみればライヴ盤で、リリ・ボニッシュの‘Alger, Alger’ ‘Ana Fil Houb’に
リーヌ・モンティの‘Khdaatni’、ファリド・エル・アトラシュの‘Wayyak’ などなど、
アラブ・アンダルース音楽やアラブ歌謡ファンならなじみ深い名曲がずらり。
3人の女性歌手が本格的なアラブ・アンダルース楽団の伴奏で歌っていて、
なんじゃこりゃと、スピーカーの前で身を乗り出してしまいました。
アルジェリア製のペイパー・スリーヴにはトラック・リストしか情報がなく、
どういうグループなのか、さっぱりわからなかったんですが、
ネット検索すると、この時のライヴがアップされていて、
フランスでDVDもでていることが判明。
というか、CD含めフランス盤がオリジナルのようですね。
アルジェリア盤ジャケットの方が、
フランス盤のイラスト画よりムードがあっていいんだけど。
DVDのトラック・リストには作者のクレジットも載っていて、
オラン生まれのユダヤ系ピアニスト、モーリス・エル・メディオニの曲や、
シャアビにアルジェリア民謡なども歌っていることがわかりました。
レ・オリエンタルは、40~60年代のアルジェリアのミュージック・ホールで
演唱されたレパートリーを復活させようと企画されたプロジェクトで、
03年9月にパリのモガドール劇場で行われたショーを収めたのが、
このライヴ盤だったんですね。
マルセイユのルンバ・フラメンカのポップ・グループ、バリオ・チノと
アルジェリアのラジオ・アルジェリア弦楽団が合体して
オルケストル・バブ・エル・マルセイユを編成し、
フロントの3人の女性歌手によるレ・オリエンタルを含む、
総勢17名のプロジェクトなのでした。
オルケストル・バブ・エル・マルセイユのリーダーは、
ピアニストのアレハンドロ・デル・バジェで、
音楽監督は、オラン出身のスペイン人の孫という、
バリオ・チノのリーダーで弦楽奏者のジル・アニオルテ・パズが務めています。
DVDには、ライヴ本編65分に加え、メイキング・ドキュメンタリーが26分、
04年のアルジェリア・ツアーのドキュメンタリーが13分、
さらに、ボーナスとして、リリ・ボニッシュのライヴ映像‘Alger, Alger’ に、
モーリス・エル・メディオニのピアノ演奏のライヴ映像‘Ahlen Ouassalen’ も
観ることができます。
アルジェリア・ツアーで熱狂する観客が印象的で、
大人しくライヴを鑑賞しているパリの観客とは、まるで違いますよ。
かつてリーヌ・モンティが聞かせた、アラブ・アンダルースとシャンソンを
ミックスさせたスタイルを蘇らせたようなこの企画、
この時限りで終わってしまったんでしょうか。
味のある試みで、続編を期待したいものです。
Les Orientales "MUSIC-HALL D'ALGERIE" Belda 050
[DVD] Les Orientales "MUSIC-HALL D'ALGERIE" Juste Une Attitude/MK2 Music EDV1169 (2004)