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デモテープのようなセルフ・カヴァー集 ロムロ・フローエス

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Romulo Fróes  POR ELAS SEM ELAS.jpg

ノエール・ローザ由来の下町サンバの伝統に深く根ざしながら、
同時に前衛であるという、稀有な才能を持つロムロ・フローエス。
野心的な前作“BARULHO FEIO” に続き、
http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2015-02-01
今度は文字通り素っ裸な、素のままの作品を送り出してきました。

全編、ロムロ・フローエスのギター弾き語り。
エルザ・ソアレスやニーナ・ベケールなど、
これまで他人に提供してきた自作曲をセルフ・カヴァーした作品集です。
デモテープをそのままパッケージしたような飾り気のなさは、
みずからのサンバに対するゆるぎない自信を感じさせます。

「ギターに関してはジルベルト・ジルやジョアン・ジルベルト、ジャヴァンやジョアン・ボスコ、
これらの人たちのように特筆すべきものは持っていないんだ」(大洋レコードのサイトから引用)と
ご本人は謙遜しているようですが、メロディを粗削りのまま提示する原石の味わいは、
自作のサンバをギターで弾き語るサンビスタに特有のもの。

ノエール・ローザやネルソン・カヴァキーニョの弾き語りを聴けばわかるとおり、
作者特有の独特の節回しや揺らぐリズムのせいで、無骨でとっつきが悪く、
甘やかなメロディの良さになかなか気づかなかったりしますよね。
特に、ネルソン・カヴァキーニョが顕著といえますけれど、
バチバチと弦を強くはじく特異な奏法や、
ガマガエルの鳴き声みたいな天衣無縫のヴォーカルから、
あんなにせつないサンバがこぼれ出すんですからねえ。

彼らに比べれば、ロムロ・フローエスのソフトなバリトン・ヴォイスは、
カルトーラやドリヴァル・カイーミのような口当たりの良さを感じさせます。
そんなロムロ・フローエスがアイドルとするサンビスタが、
ネルソン・カヴァキーニョだというのだから面白いじゃないですか。
なんと3月には、サンパウロの文化教育機関SESCから
ネルソン・カヴァキーニョ曲集のリリースも予定されているそうで、そちらも楽しみです。

Romulo Fróes "POR ELAS SEM ELAS" YB Music no number (2015)

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