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ポップになることの意味 カサイ・オールスターズ

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Kasai Allstars  BLACK ANTS ALWAYS FLY TOGETHER.jpg

あれま。ずいぶんとポップになったこと!

コンゴの5つの民族(ルバ、ソンギエ、ルルア、テテラ、ルントゥー)の
メンバーが集合し、それぞれの民族のフォルクロール(伝統音楽)を融合して、
新たなるアンプリファイド・フォルクロールをクリエイトしたカサイ・オールスターズ。
17年に出た、映画『わたしは、幸福(フェリシテ)』のサウンドトラック
“AROUND FÉLICITÉ” 以来のアルバムですね。

コノノNo.1(ヌメロ・アン)ですっかり有名になった電化リケンベ(親指ピアノ)と、
電化リケンベ以上に強烈なバズ音を生み出すビビリ太鼓のディトゥンバ、
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2015-12-12
サワリ音の利いた木琴、大型スリット・ドラムが生み出すグルーヴはそのままに、
リズムを整理したプログラミングとシンセの導入によってキャッチーなメロディを強調し、
より幅広い層にアピールするサウンドに仕上げています。

本作はメンバーのギタリスト、モペロ・ムペンバがプロデュースをしていて、
リズム・プログラミングもモペロとエンジニアのパピ・アトゥケの二人が担当したんですね。
パピ・アトゥケはシンセも演奏していて、メロディの補完役を務めています。
どうやらポップ化の立役者は、モペロ・ムペンバとパピ・アトゥケの二人のようだな。
従来のトランシーなビリビリ感電フォルクロールを期待すると、
はぐらかされた気分になると思いますけど、ぼくはこの方向性、強く支持しますね。

同じカサイ地域に暮らす民族でも、言語も文化も違い、
それぞれの音楽的伝統は相容れないとされていたのを、
カサイ・オールスターズは乗り越え、見事に共有してみせました。
‘Unity Is Strength’ と題した曲があるように、本作を貫くテーマは「結束」です。
先行シングルで出された‘Olooh, A War Dance For Peace’ でも、
村人の争いが起こった時、武器を手にして戦いの踊りを踊ることによって
紛争解決を図るという、平和的解決のための昔からの智慧が歌われています。

自国/自民族優先主義が引き起こした社会の分断を立て直すためにも、
今必要とされているのは、いかに人々の連帯や結束を取り戻すかです。
そのためにも、一部の尖ったファン向けのアンダーグラウンドな音楽に向かうのではなく、
幅広いファン層を求めていくポップな方向性を、ぼくは支持したいのです。

Kasai Allstars "BLACK ANTS ALWAYS FLY TOGETHER, ONE BANGLE MAKES NO SOUND" Crammed Discs CRAM295 (2021)

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