ウクライナのリラ ミハイロ・ハイ
『ウクライナのリラ』という英文タイトルが書かれているものの、 ジャケットに写る男性が抱えているのは、どう見てもハーディ・ガーディ。 ウクライナでは、この楽器をリラと呼ぶの? 楽器分類からすると、ずいぶんと悩ましい命名をしたもんだなあ。 西ヨーロッパで発達したハーディ・ガーディが東へと伝播して、 ウクライナではリラと呼ばれていたことを、遅まきながら知りました。...
View Article王道のノルデスチ歌謡 サンドラ・ベレ
ノルデスチのフォークロアを、ブラジル全土相手に歌うポップ・シンガーって、 エルバ・ラマーリョ以来じゃないの !? マンギ・ビートの流行以降、ノルデスチの音楽は、 オルタナ方面に向かう尖ったタイプと、 マラカトゥやココなどの伝統音楽をディープに探求していくタイプに二分され、 エルバ・ラマーリョやアメリーニャのような保守王道ともいうべき、...
View Article返シドメ 一噌幸弘
一噌流笛方という能楽師の世界にとどまらず、 ジャズ、ロック、クラシックの音楽家たちと果敢に交流して、 今年でCDデビュー30周年を迎えた一噌幸弘。 思い起こせば、91年のデビュー作『東京ダルマガエル』は、衝撃でした。 山下洋輔、坂田明、渡辺香津美というゲストを向こうに回して、 丁々発止のインプロヴィゼーションを繰り広げる 即興演奏家としての実力は、ただならぬものがありました。...
View Articleブルキナベのマンデ・ポップ カディ・ジャラ
グリオ出身のブルキナ・ファソ人歌手、カディ・ジャラの新作がいい。 04年にデビュー作を出し、09年の2作目以来、12年ぶりとなる新作です。 最近すっかり聴く機会が減ってしまったマンデ・ポップですけれど、 ひさしぶりの快心作じゃないですか。 ブルキナ・ファソでマンデ・ポップというと、 不思議に思う人がいるかもしれませんけれど、...
View Article熱帯性雑食音楽の魅力 スム・アルヴァリーニョ
サントメ・プリンシペの70~80年代録音をコンパイルしたボンゴ・ジョー盤で、 スム・アルヴァリーニョという歌手を初めて知りました。 調べてみたところ、選曲された2曲を含む82年のレコードがCD化されていることがわかり、 さっそく入手してみたところ、これがすごく面白い。 サントメ・プリンシペのポップスというと、 アフリカ・ネグラやサンガズーザなどの代表的なバンドから、...
View Articleニュー・オーリンズ・ファンク・パワーハウス ダンプスタファンク
いぇ~い! 来た来たぁ、ダンプスタファンクの新作!! ゴールデン・ウィークに間に合って、ステイ・ホーム期間をゴギゲンに過ごせますよ~。 なんつったって、ニュー・オーリンズ・ファンク最高のバンドですからね。 12年に来日して、渋谷のクラブクアトロの密なステージで踊りまくったことが、 昨日のことのように思い出されますよ。...
View Articleアマピアノ・シリーズ第2弾 DJ・ブラック・ロウ
オウサム・テープス・フロム・アフリカが、 テノ・アフリカに次いでリリースしたアマピアノ第2弾。 https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2021-03-31 テノ・アフリカはインストでしたけれど、 こちらは多彩なMCやシンガーをフィーチャーしています。 DJ・ブラック・ロウことサム・オースティン・ラデベは、...
View Articleそよ風香るフォーキー・マコッサ マリオ・コンボ
爽やかなアフリカン・フォーキー・サウンドに、 どこの人?と思ったら、カメルーンでした。 マリオ・コンボ。初めて聴く名前ですが、 20年のキャリアがある人だそうで、これが4作目だそうです。 こんな感じの人、なんかいたよねえと、しばし思案して、 ブリック・バッシーが浮かんだところ、 なんとそのブリック・バッシーが音楽監督・アレンジをしていて、ビックリ。 しかもこのアルバム、15年作じゃないの。...
View Articleマダガスカル伝統ポップ・ア・ラ・カルト ハンタ
マダガスカルの聞き逃し物件、発見。 02年にフランスのマリオンから出ていた女性歌手の2作目で、 本名のヴニハンタマララ・ランパラニを略して、ハンタと称しています。 マラガシ(マダガスカル語)では、「イヤント」と発音するそうですが、 いやぁ、マラガシの発音って、本当に難しくって、よくわかんない。 カボシ、マルヴァニ、ヴァリハ、ソディナといった民俗楽器主体の編成で、...
View Articleポップになることの意味 カサイ・オールスターズ
あれま。ずいぶんとポップになったこと! コンゴの5つの民族(ルバ、ソンギエ、ルルア、テテラ、ルントゥー)の メンバーが集合し、それぞれの民族のフォルクロール(伝統音楽)を融合して、 新たなるアンプリファイド・フォルクロールをクリエイトしたカサイ・オールスターズ。 17年に出た、映画『わたしは、幸福(フェリシテ)』のサウンドトラック “AROUND FÉLICITÉ” 以来のアルバムですね。...
View Article70年代ソウルの帰還 PJ・モートン
ジョン・バティステの“WE ARE” を絶賛愛聴中なんでありますが、 あのアルバムにはPJ・モートンも客演しているんですよね。 何年か前、PJ・モートンの“GUMBO” が話題になったとき、 CDを探すも見つからず、そのまますっかり忘れていたことを思い出しました。 あ、日本盤は出ているんですけれどね。 できるかぎりオリジナル盤で買うという、メンドくさい性分がいまだ抜けないもんで。...
View Articleアコーディオン・ジャズの決定盤 ドム(ドミニク)・フロンティア
うわぁ、なっつかしい~! 秘蔵盤がとうとうCD化されちゃいましたぁ。 アコーディオン・ジャズの知られざる名盤、 ドム(ドミニク)・フロンティアのリバティ盤2枚。 ハタチの頃、池袋のメモリーレコードのおじさんに教えてもらった逸品ですー。 https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2012-11-05 ジャズでアコーディオンといえば、完全にその他楽器扱いで、...
View Articleブラック・パワー・ジャズ ジェイムズ・ブラッド・ウルマー
ひん曲がったリズムで、アブストラクトな音列を並べるテーマに、はや昇天しかけていると、 痙攣するようなリックをがしがしと弾き倒すギターが畳みかけてきて、 その圧倒的なブラック・パワーには、ただただひれ伏すほかありませんでした。 81年にジェイムズ・ブラッド・ウルマーと出会ったのは、 自分の音楽人生の中でも、一二を争う強烈な体験だったことは間違いありません。...
View Article唯一無比のアヴァンギャルド・ジャズ・ドラマー ロナルド・シャノン・ジャクソン
ひさしぶりに“BLACK ROCK” を聴いたおかげで、 すっかりウルマー祭りとなっております。 “NO WAVE” “ARE YOU GLAD TO BE IN AMERICA?” と続けたら、 ロナルド・シャノン・ジャクソンのドラムスがもっと聴きたくなって、 “STREET PRIEST” に手が伸びました。...
View Articleヒップ・ホップ・ビートをヒューマナイズした遺作 トニー・アレン
トニー・アレンを観たのは、19年1月のブルーノート東京のステージが最後。 サックスのヤン・ヤンキルヴィツを核とするセクステットでやってきて、 “THE SOURCE” のレパートリーを聞かせてくれたんですけれど、 まさかこの1年3か月後に亡くなってしまうなんて、想像すらしませんでしたよ。 https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2017-09-12...
View Articleトンブクトゥの女王を悼んで ハイラ・アルビー
アフリカのアーティストで、ライヴを観たかった筆頭格が、ハイラ・アルビー。 ハイラをトンブクトゥのソウル・ディーバと礼賛した記事を、かつて書きましたけれど、 https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2015-09-21 18年4月に届いた訃報には、全身から力が抜ける思いがしたものです。 59という年齢で逝くなんて、あまりに早すぎますよ。...
View Articleコペンハーゲンの実験的ジャズ ネゼルホーンズ
テナー・サックス奏者のナナ・パイが率いるコペンハーゲンのクインテット、 ネゼルホーンズのセカンド・アルバム。 リーダーのナナ・パイはデンマーク出身ですが、 トロンボーンのペッター・ヘンゼルと ドラムスのクリストファー・ロステットはスウェーデン出身、 トランペットのエリック・キメスタッドはノルウェー出身、 ベースのヨハネス・ヴァートはエストニア出身と、...
View Article4トロンボーン・ジャズ ジェニファー・ウォートン
4トロンボーンというレアな編成で、主役はバス・トロンボーン。 しかも、このジャケ写ですよ。 これで買わないわけにはいかないでしょうという、 ニュー・ヨークの女性バス・トロンボニスト、ジェニファー・ウォートンのデビュー作。 アンサンブル重視のオーソドックスなジャズで、すがすがしい作品だったんですが、 新作ジャケが、これまたジャズとは思えぬポップなデザインで、 試聴もせずに飛びついちゃいました。...
View Articleファンクの肝はアタマの1拍目 ブーツィー・コリンズ
ダンプスタファンク新作のヘヴィ・ロテが止まらない。 https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2021-05-02 これ一枚じゃ物足んなくて、なんかほかに良さげなファンクはないかと、 少し前に出ていたブーツィーの新作に手を伸ばしてみましたよ。 ブーツィーはねぇ、昔大好きだったんだけど、世紀が変わったあたりから、 だんだん興味が薄れてきちゃったんだよなあ。...
View Articleベロ・オリゾンチのサンビスタ デ・ルーカス
めっちゃ好みのサンビスタ、みっけ! ここ数年ずっとサンバ日照り、なんてボヤいていたら、 5年前に出ていたインディ作に、こんな良作があったとは。 オーセンティックなサンバは、こういうインディ作をマメにチェックしないと、 お目にかかれなくなっちゃいましたね。 大手のレコード会社からはまったく出ないし、 ビスコイト・フィーノぐらいしか、サンバ・アルバムを作ってないもんな。...
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