テナー・サックス奏者のナナ・パイが率いるコペンハーゲンのクインテット、
ネゼルホーンズのセカンド・アルバム。
リーダーのナナ・パイはデンマーク出身ですが、
トロンボーンのペッター・ヘンゼルと
ドラムスのクリストファー・ロステットはスウェーデン出身、
トランペットのエリック・キメスタッドはノルウェー出身、
ベースのヨハネス・ヴァートはエストニア出身と、
北欧各国からコペンハーゲンに集まった才能によるグループです。
グループの核となっているのが、
作曲を担当しているナナ・パイとペッター・ヘンゼルで、
二人とも調性と無調が行き来するコンポジションを書き、
協和と不協和が並列するサウンドスケープを、伝統的なジャズな語法で演奏しています。
即興性は強いけれど、フリー・ジャズとは言い難い構造のあるコンポジションを演奏する、
実験性の高いグループで、このビミョーな案配が、めちゃ好みだなあ。
タイトル曲の冒頭でナナが、テナー・サックスの無伴奏ソロを吹くんですが、
不協和音やノイズを駆使しながら、けっして破調になることなく、
抑制の利いた即興演奏となっているところが聴きものです。
ナナの独特なトーンは、やっぱ強烈な個性があるなあ。
坂田明が18年12月に渡欧ツアーした時、彼女と共演したんですよね。
北欧ジャズらしいダークなトーンのコンポジションは、
余計な抒情を挟み込んでこない、無糖コーヒーの味わいにも似て、
とても魅力的です。
Nezelhorns "SENTIMENT" Barefoot BFREC066CD (2021)