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男泣きの南ア・ソウル・ジャズ マイク・マガレメレ

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Mike Makhalemele  THE PEACEMAKER.jpg

今回、もろもろ手に入れたアッ=シャムス(ザ・サン)盤CDで、一番驚いたのがコレ。
サックス奏者マイク・マガレメレの75年デビュー作。

CD化されていたことを知らなかったので、それ自体もオドロキでしたけれど、
なんでまたザ・サンから出たんでしょうねえ。オリジナル盤はジョバーグなんですけれども。
調べてみたら、81年にザ・サンが再発していたんですね。
ジャケットはジョバーグのオリジナル盤どおりで、ザ・サンのロゴが付いただけ。
話は脱線しますけれど、当方「ヨハネスブルグ」という表記に、強い不快感を持っており、
間違ってもこのレーベルを、「ヨブルグ」などと読まぬよう、お願いします。

マイク・マガレメレは、38年ジョハネスバーグ、アレクサンドルに生まれたサックス奏者。
キッピー・ムケーツィに強い影響を受け、デクスター・ゴードン、チャーリー・パーカー、
ジョン・コルトレーン、ジョー・ヘンダーソンからも影響を受けたといいます。
ソウル・ジャズのグループ、ザ・ドライヴに在籍するなど、
ソウル・ジャズ色の濃い演奏が持ち味です。

昨年ザ・ヘシュー・ベシュー・グループの記事でも触れましたけれど、
70年代南アでザ・ドライヴが果たした役割は、本当に大きかったんですねえ。
マイクも参加した71年デビュー作の“SLOW DRIVE TO SOWETO” は、
ぜひCD化してほしいなあ。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2020-11-29

南アにやってくるアメリカ人音楽家の伴奏に起用されることもしばしばで、
チャンピオン・ジャック・デュプリー、ジョー・ヘンダーソン、
カーティス・メイフィールド、クラレンス・カーターのバックを務めたとのこと。
このほか、ポール・サイモンの『グレイスランド』に参加して、‘Gumboots’ で共演。
87・88年にはレディスミス・ブラック・マンバーゾやミリアム・マケーバ、
ヒュー・マセケラとともに、サイモンのグレイスランド・ツアーに同行しています。

本作でも、そんなマイクらしいアーシーな演奏をたっぷりと楽しめます。
ぶりぶりと豪放磊落にビッグ・トーンを鳴らす、男くさいサックスがたまんない。
フェンダー・ローズのエレピと絡むソウルフルなサックスなんて、
往年のウィルトン・フェルダーをホウフツさせるじゃないですか。
そう、南ア版ジャズ・クルセーダーズみたいな。

ラスト・トラックの‘My Thing’ のテーマが、泣けて、泣けて。
涙の味がにじんだアーシーなメロディをストレートに吹ききる、
テナー・サックスの武骨なブロウに、男泣きするしかありません。
これぞ、南ア・ソウルじゃないですか。

Mike Makhalemele "THE PEACEMAKER" As-Shams/EMI CDSRK(WL)786151 (1975)

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