エドナ・ラロシにテウタ・セリミの二人の女性歌手をきっかけに、
コソヴォにタラヴァというポップスがあることを知りました。
歌手の層が厚く、ミュージック・ヴィデオもかなり作られていて、
つまみ食いしただけでも、面白い人にゴロゴロ当たるんですよ。
タラヴァのCDを売っているアルバニアのお店を見つけたので、
気になった歌手のCDをオーダーしてみたんですが、
わずか1週間足らずで届きました。
アルバニアからの荷は、これが初めてですね。
う~ん、また世界がひとつ開けたみたいで、嬉しいな。
サブスクでちゃちゃっと聴いてしまえば、そりゃ簡単だけど、
こういう手間ヒマかけるのが、楽しいんですよ。
オーダーして届くまでの、心待ちしている時間が、いいんだなあ。
待っている間に、またいろいろ調べられるしね。
こういうプロセスを経てこそ、道楽は深まるんだから、
効率なんて考えちゃダメだよね。
それに、簡単に聴いたものは、簡単に忘れちゃうだけだし。
で、ヴィデオを観ていて、歌の上手さに引き込まれたのが、メダという男性歌手。
79年プリシュティナの音楽一家に生まれ、
00年からプロ歌手として活動を始め、04年にデビュー作を出したメダは、
「タラヴァの王様」とも称されている歌手だそう。
タラヴァを代表するシンガーというわけで、
こちらのアンテナにもすぐ引っかかるわけですね。
在庫のあった10年、18年、20年の3作を買ってみたんですが、
どのアルバムも歌に安定感があり、安心して身を任せられます。
ハリのある声と、ノドを詰めた歌いっぷりに魅力のある人ですね。
10年作は、シンプルな打ち込みのトラックに、ズルナ、クラリネット、
ダルブッカ、ダフなどの生音がよく映え、サウンドがとてもすがすがしいんです。
90年代のアラベスクにも通じるこういうプロダクションは、もろ好みだなあ。
これが18年作になると、鍵盤系のサウンドがぐんとグレード・アップして、
ボトムに厚みが増すかわり、ズルナなどの生音がシンセに置き代わってしまい、
ダルブッカなどのパーカッションも不在になってしまうのは、残念です。
ラッパーをフィーチャーして、ヒップ・ホップ・ビートを強調した曲や、
レゲトンを取り入れた曲もあり、かなりワールド・ミュージックぽいというか、
グローバルなポップ・サウンドにシフトしているのを感じます。
おやと思わせるのは、生音のサズが聞こえるラスト・トラックかな。
これが20年作になると、生音のサズやストリングスなどが使われていて、
生音回帰の傾向がみられます。すべて打ち込みに頼るのではなく、
生演奏とのバランスを考えて制作されているのは、好感が持てますね。
管楽器や弦楽器によるオリエンタルなメロディがタラヴァの魅力なので、
やっぱりこうした楽器のソロやオブリガードは、必須だよなあ。
ウィキペディアのディスコグラフィによると、
今回買った10年作は7作目、18年作は20作目、20年作は39作目。
04年のデビュー作以降、年1作のペースだったのが、
18年から多作となり、18年は9作、19年は7作、20年は13作も出しています。
なかにはベスト盤のようなアルバムも混じっているのかもしれませんけれど、
それにしてもこのハイ・ペースはスゴイですね。
Meda "MOS GABO!" EmraCom/Lyra no number (2010)
Meda "NJO PO NJO" Emra Music/Lyra no number (2018)
Meda "NA NA" Emra Music/Lyra no number (2020)