うわぁ、アフター7の新作が出たよ。今度こそ書いておかなくちゃ。
16年の前作をヘヴィロテしたにもかかわらず、
なんでだか書きそびれちゃったんですよ。
その年のベスト・アルバムに選ぶかどうか迷った時に、
記事にしていないのに選ぶのはいかがかと思い、
泣く泣く落選させた苦い思い出が忘れられません。
いまだに秋冬になってくると、聴き返すことの多い“TIMELESS”。
エドモンズ一家の十八番である美メロ&美ハーモニーが、
たっぷりと詰め込まれたアルバムで、う~ん、やっぱり名作ですよねえ。
これぞラグジュアリーなR&Bのお手本で、プロダクションも、
80年代末のデビュー時とは見違えるサウンドになっているじゃありませんか。
アフター7にとって21年ぶりとなったあの復帰作は、
オリジナル・メンバーのメルヴィンが戻って4人体制となり、
ケヴォンとの2枚リードが復活した記念作でもありました。
アルバムのハイライトは、マーヴィン・ゲイの持ち歌とは同名異曲の ‘I Want You’。
リオン・ウェアの曲とは違って、こちらの歌詞は、
ティーンのような青さのある一途な恋心を爆発させた内容で、
若さゆえに我慢のきかない、性急な熱情が溢れ出た内容になっていました。
いい歳したオッサンが、少年みたいな歌詞を歌うところがいいよね。
ヴァースを歌うメルヴィンも、もちろんいいんだけれど、
続いて歌う、ケヴォンのボーイッシュな声と狂おしい歌いっぷりが
歌詞にどハマリで、胸に迫るものがありました。
ゴスペル調の曲でも、ケヴォンのみずみずしい声質は光っていましたよねえ。
その後復帰したメルヴィンは、19年に64歳の若さで亡くなってしまい、
新作はケヴォン・エドモンズ、キース・ミッチェルに、
新メンバー、ダニー・マクレーンを加えた新体制で制作されています。
メルヴィン不在でも、アフター7の肝はケヴォンと捉えているぼくにとっては、
新作になんの不安も感じませんでした。
期待どおり、アフター7のスウィートなコーラスは、永遠不滅。
ケヴォンの声は、どんなに年を重ねても、まったく変わりませんねえ。
いつまでも青春の光と影を体現する声に、ホレボレとするばかりです。
新メンバーのダニーも、個性を発揮するところまでは至らずとも、
ケヴォンとキースとよくフィットして、新たなテクスチャを感じさせる
3人のハーモニーを聞かせています。
「アーバン」は、もはやアメリカでは使えなくなってしまいましたけれど、
そのタームが当初持っていた意味のとおり、
洗練された都会の大人の夜を演出する、王道のR&Bです。
After 7 "UNFINISHED BUINESS" SRG no number (2021)
After 7 "TIMELESS" eOne EOMCD5480 (2016)