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タペストリーを織り上げるジャズ ヘンリー・スレッギル・ゾーイド

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Henry Threadgill Zooid  POOF.jpg

6年ぶりとなるヘンリー・スレッギルのグループ、ゾーイドの新作。
前作は5年前の元旦記事にしたんですけれど、
あのあと、2016年のピューリッツァー賞(音楽部門)を受賞したんですね!
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2016-01-01

う~ん、日本じゃ、ぜんぜん話題にもならなかったよなあ。
スレッギル・ファンとしては、クヤシイ限りなんですが、
今作だって、待ちわびた人がいったいどれほどいたことか。
数は少なくても、好きな人は熱烈、というのがスレッギル・ファンですよね。

新作は、グループの20周年記念作になるのだそう。
スレッギルとメンバーの間で作り上げてきたセオリーが、
長年の信頼関係のもとで伸び伸びと発揮されているのを感じとれる充実作です。

タペストリーを織り上げるジャズというのが、
スレッギルの音楽を説明するのにもっとも適していると思うんですが、
メンバーそれぞれが、一定の規律を保って自由に即興するコンセプトは、
ゾーイドの変わらぬ特徴ですよね。

全体の設計図を書くスレッギルに、職人たちが各パートを織り上げていって、
大きなタペストリーを完成させるんですが、
職人たちは単に自分のパートを分業して織っているのではなく、
ほかの職人と対話をしながら、アイディアやヒントを与えあっているんですね。
そうやって相互に作用しあうことで、もとの設計図には描かれていない豊かさを、
タペストリーに生み出していきます。
一見バラバラにみえるものが、やがて華やかに織り上がっていく、
時間の経過とともに進行していくさまを眺めるのが、ゾーイドの醍醐味です。

ゾーイドはピアノレスであることが肝だと思うんですが、
ハーモニーを慎重に避けながら、楽器間の音律に焦点をあてて、
作曲されているんじゃないのかなあ。
マルチフォニックな場面を巧みに忍ばせているのも、そんな意図を感じます。
今回は特に、ギターとチュ-バの対話が聴きどころになっていますね。
全5曲38分という短さだけが、ちょっと残念かなあ。
次回は6年も待たせないよう、お願いします。

Henry Threadgill Zooid "POOF" Pi Recordings PI92 (2021)

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