中古CDのお店をチェックしていて、最近いやに目につくようになったのが、
明らかに遺品整理で出てきたと思われる大量入荷品。
プリミティヴ・アートの分野では、コレクターの死去に伴う遺品整理で、
自分が若い時に買えずに指をくわえていた逸品が、
また舞い戻ってくるなんて現象が、10年くらい前にあったんですけれど、
ついにCDでも、これに似た事態が起き始めてるんですね。
CDを熱心に買っていた年齢層が、あの世に行くようになるって、
う~む、他人事じゃないんですけど。
ベーシックなアイテムから、マニアックなアイテムまで、
まとめてゴッソリ出てくるんだから、間違いないですよねえ。
それに比べて、コレクター自身が断捨離で出してくるのは、
マニアックなものに限られているから、すぐわかります。
良品アイテムはけっして手放さないから、出てこないもんなあ。
で、今日は、往年のリンガラ・マニアが放出したとおぼしき、
断捨離物件がごっそりあり、ざっとチェックしてみたんですが、
う~ん、見事にカスばっかりでした。
90年代のウチコミに移行しつつあった時代のCDが中心で、
300~400円台の値が付けられていたのは、妥当でしたね。
買い取りの値段は、おそらく80円とか、そんなもんだったんだろうな。
少しばかり拾ってきたなかで、予想外に良かったのが、
コンゴ(ブラザヴィル)出身のシンガー、バルー・カンタの04年作。
ヴィヴァ・ラ・ムジカ脱退後、ヌーヴェル・ジェネラシオンを結成して
活躍したシンガーのルシアナとの共同名義作です。
ルシアナと一緒に活動していたことを初めて知りましたが、
バルーのアクースティック・ギターを中心に、
ほっこりとした、まろやかなルンバをやっています。
生ドラムスとウチコミ使いのバランスもよければ、
シンセサイザーばかりでなく、アコーディオンも使って
ノスタルジックなサウンドを演出しているところなんて、嬉しくなりますね。
ラテンのアレンジを施した曲では、ホーン・セクションを起用して、
美しいコーラスとともに、人肌のぬくもりが伝わるサウンドに仕上げています。
バルー・カンタといえば、フレンチ・カリブをミックスした15年作が忘れられませんが、
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2015-06-23
あのアルバムの音楽監督を務めたクレオール・ジャズ・ピアニストの
エルヴェ・セルカルがすでに本作でも参加しているんですね。
また、80年代ズーク・シーンの立役者といえるキーボード奏者の
ロナルド・ルビネルもゲストで参加しているなど、
フレンチ・カリブの音楽家たちとの交流は、この当時からあったんですねえ。
チェックしてみたら、ルシアナとのコンビで02年にもアルバムを出していて、
これが2作目だったようです。知られざる名作ですね。
Ballou Canta et Luciana "RUMBA LOLANGO" Doçura 46211-2 (2004)