トーゴの国旗をバックにした若者が二人。
一目でトーゴのヒップ・ホップとわかるジャケットなれど、初めて目にするCD。
ジャケットを裏返すと、12年に出ていたルサフリカ盤と判明。
十年近くも前のCDなのかあ、ぜんぜん見たことないなあと、独り言ちしながら、
ワン・コインもしないアウトレット品を、救出してまいりました。
で、これが思いのほか、面白かったんですよ。
アッパーなダンス・オリエンテッドなアルバムで、
歌手とラッパーのデュオ・チームなんですね。
歌手はアブー・ジェイ=リバ、ラッパーはティエリー・ジェイ=リバとあり、
本当の兄弟かどうかは不明。
コート・ジヴォワールのクーペ=デカレによく似てると思ったら案の定で、
クーペ=デカレをトーゴ風にアレンジした、
クール・カッチェと呼ばれるスタイルなんだそう。
06年にトゥーファンというデュオが考案したダンスだといいます。
クール・カッチェは、トーゴの若者の間で瞬く間にブームとなり、
さまざまな大会が定期的に開かれているそうです。
トーゴ北部ダパオン出身の二人が、ジェイ=リバを結成したのは98年のこと。
05年のヒップ・ホップ・アワードで受賞し、
アクラでレコーディング・デビューを果たしたあと、
2枚のアルバムによって、トーゴの人気グループとなります。
3作目となる12年の本作は、インターナショナル・デビュー盤で、
ソニー・フランスの後押しにより、フランスでプロモーションもされた模様。
ポップな楽曲にダンサブルなビート、適度にヌケのあるサウンドスケープは、
ドープすぎず、リスニング用にも対応可能なアルバムとなっています。
アクースティック・ギターとジェンベの生音を生かしたトラックもあり、
エレクトロと生演奏のバランスも、いい感じですね。
トーゴのロメとブルキナ・ファソのワガドゥグを繋いだタイトルのトラックでは、
ブルキナベのラッパー、イェリーンをフィーチャーするなど、
近隣国とのコラボも盛んなようです。
クール・カッチェを知るのに、絶好な1枚でありました。
Jey-Liba "ODYSSEE" Lusafrica 662072 (2012)