カイピーラ・ギター(ヴィオラ・カイピーラまたは単にヴィオラ)の名作誕生!
リカルド・ヴィギニーニはねぇ、ずっと敬遠していたんですよ。
だって、カイピーラ・ギターで、ブラック・サバス、スレイヤー、メタリカ、
アイアン・メイデンをカヴァーしちゃうようなお人ですよ。
ジャケットもヘヴィメタ趣味で、ギターをたくさん並べてポージングするとこなんて、
まるでボブ・ブロウズマンさながら。じっさいブロウズマンとも共演してるらしいし、
ますます、ぼくとは1ミリも接点がないって感じ。
そんなムジカ・カイピーラ革命児のリカルド・ヴィギニーニですけれど、
本作は、原点回帰ともいうべきオーセンティックな内容で、
アクースティックなサウンドでまとめたギター・アルバムとなっています。
歯切れの良いピッキングで、ギターをフルに鳴らし切っていて、
いやぁ、爽快じゃないですか。
なんだか、聴き進むうちに、ハワイのスラック・ギター・アルバムを
聴いてるような気分になって、ニコニコしちゃいました。
リカルドが弾く10弦カイピーラ・ギターに、
ラファエル・シュミットとネイ・クーテイロのギター、
アントニオ・ポルトのベースとギター、
ファビオ・タグリアフェリのヴィオラ・デ・アルコがサポートしていて、
リカルド自身がカヴァキーニョ、ギター、パーカッションなどを多重録音した曲もあります。
‘Último Adeus’(55) のようなカイピーラ古典から、
ヴェテラン・カイピーラ・ギタリストのインジオ・カショエイラ作のメドレー、
オリヴェイラとオリヴァルドのコンビが歌った‘Paixão de Carreiro’、
ゼー・ムラートとカシアーノの‘Batuque No Ranchão’ など、
リカルドの自作曲を交えて演奏しています。
リカルドって、レシーフェ出身の奇才ギタリスト、エラルド・ド・モンチとも
ルックスが似ていて、エキセントリックなタイプって、
みんな似たような顔してんのねとか思ってたんですが、
このアルバムは過去作とはぜんぜん違います。ジャケ写はイケてないけど、内容は保証。
スラック・キー・ギター・ファンにもオススメできる、カイピーラ・ギターの名作です。
Ricardo Vignini "RAIZ" no label FG31 (2021)