プエルト・リコのリズムに寄せたコンテンポラリー・ラテン・ジャズ マイケル・エクロス
『プレーナ プレーナ プレーナ』。 プレーナ3連発!のジャケットに目を奪われました。 アリゾナ出身のジャズ・ピアニスト、マイケル・エクロスの新作。 オルケスタ・アコカンのピアニストで知られる人ですね。 ピアノ、ベース、ドラムス、コンガ、サックスのクインテット編成を基本に、 ベースとドラムスの交代要員とアディショナル役のパーカッション2名、 ゲストでトロンボーンとトランペットが参加しています。...
View Articleだから言っただろ アロルド・ロペス・ヌッサ
こりゃあ、痛快! ラテン・ジャズのスペクタルを堪能できる1枚。こういうのが聴きたかった! キューバ人ピアニスト、アロルド・ロペス・ヌッサの新作は、 ピアノ・トリオにトランペットを加えたカルテット編成で、 ラテン・ジャズをティンバのアプローチで演奏した快作に仕上がっています。 パワフルでファンキー。 アロルドがここで展開しているサウンドを表現すれば、これにつきるでしょう。...
View Articleレバノン女性の自立の難しさ タニア・サレー
レバノンのシンガー・ソングライター、タニア・サレーの新作が届きました。 “10 A.D.” のタイトルが意味するのは、 「離婚後10年」(10 years after divorce)とのこと。 レバノンに限らずアラブ諸国は、女性の権利は最低限しか認められておらず、 男性支配によるさまざまな社会的なタブーによって、 女性の自由は大きく制限されています。...
View Article副反応にはダブを ヴィン・ゴードン
コロナ予防接種3回目の副反応で、 高熱にやられているときのBGMになってくれたアルバム。 ぼーっとした頭で、悪寒に襲われながら聴くダブって、合うなあ。 20歳を過ぎてから、39.0℃以上の発熱なんて一度も出したことがないのに、 60を越えてから、予防注射で1年に2度もこんな高熱出すって、 なんかオカシくないかと思うものの、ボヤいてみたところで仕方ない。...
View Article忘れじの海外通販サイト その5 Antilles Mizik
Caribop "WEEK-END À SAINTE-ANNE" Marc Vorchin & MBM MBM004CRB1 (2008) ブログを続けるなかで、守ってきたルールのひとつに、CDの具体的な入手先で、 一般の販売店ではない海外通販サイトは明かさない、というのがあります。 ブログ書き始めの頃の話ですけれど、...
View Article人生の岐路 ラム・アイン
すっかりヴェトナム歌謡と縁遠くなってしまった今日この頃、 とタイプして、はたと気付けば、ヴェトナムばかりじゃなくって、 タイ、カンボジア、ミャンマーだって、まったく新作を聴いていませんね。 う~む、遺憾千万、残念無念、千恨万悔、切歯扼腕。 しかたなく旧作を探していたんですが、見つけましたよ、スグレもんを。 ラム・アインという越僑女性歌手の14年作。...
View Article7弦ギタリストのデュオ2作 ロジェリオ・カエターノ
7弦ギタリスト、ロジェリオ・カエターノの旧作2タイトルが入ってきました。 1枚は同じく7弦ギタリストのジアン・コレアとのギター・デュオ作で、 パンデイロとタンボリンが伴奏につき、 二人のオリジナル曲をショーロふうに演奏したもの。 このアルバム、往年の7弦ギターの名手、ジノに捧げられていて、 となれば思い起こされるのは、 ジノとラファエル・ラベーロが共演した91年のカジュー盤ですよね。...
View Articleお爺ちゃんとピファノ女性楽団 メストリ・ゼー・ド・ピフィ&アス・ジュヴェリーナス
メストリ・ゼー・ド・ピフィは、 ブラジル北東部の笛ピファノ(またの名を、ピフィ)の達人。 45歳のときにブラジリアに移り住み、 ブラジリア大学に招かれてワークショップや授業で演奏をしていると、 北東部音楽に魅せられた女子学生たちがグループを結成し、 07年にアス・ジュベリーナスの名で、 メストリ・ゼー・ド・ピフィと活動を始めたのでした。 結成当初は11人いたそうですが、現在のメンバーは7人。...
View Articleカイピーラ・ギターの名作誕生 リカルド・ヴィギニーニ
カイピーラ・ギター(ヴィオラ・カイピーラまたは単にヴィオラ)の名作誕生! リカルド・ヴィギニーニはねぇ、ずっと敬遠していたんですよ。 だって、カイピーラ・ギターで、ブラック・サバス、スレイヤー、メタリカ、 アイアン・メイデンをカヴァーしちゃうようなお人ですよ。 ジャケットもヘヴィメタ趣味で、ギターをたくさん並べてポージングするとこなんて、...
View Article春を呼ぶファド フランシスコ・ソブラル
フランシスコ・サルヴァソーン・バレートに刺激されて、 https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2022-02-20 男性ファディスタをもっと聴きたくなり、あれこれ探して見つけた一枚。 フィリーペ・ラ・フェリア作のミュージカル「アマリア」(99)で、 アルフレード・マルセネイロを演じて脚光を浴びたファド歌手、 フランシスコ・ソブラルの12年セカンド作です。...
View Articleマルチ・カルチャライズ育ちのR&Bシンガー アンバー・マーク
アルバム冒頭、ボビー・ブランドのサンプリングが飛び出して、のけぞり。 デューク時代の‘Dear Bobby (The Note)’ だぜ、これ。 そこからするっと、ヒップ・ホップ・ビートに滑り込むというカッコよさ。 R&Bの新人女性シンガー・ソングライターの初フル・アルバムと聞いて 聴き始めたら、いきなりブランドなんだから、びっくりだよねえ。...
View Articleロンドン新世代のエレクトロ・フュージョン ブルー・ラブ・ビーツ
ビートメイカーでプロデューサーのNK-OK(ナマリ・クワテン)と、 マルチ・プレイヤーのMr DM(デヴィッド・ムラクボル)のデュオ、 ブルー・ラブ・ビーツのブルー・ノートからの新作。 二人のキャリアから、UKジャズとして取り沙汰されてますけど、 ブルー・ラブ・ビーツのサウンドは、フュージョンそのもの。 RC&ザ・グリッツのジャズ・ファンクに通じる、...
View Articleキゾンバ・シンガーのデビュー作 メルヴィ
昨年夏に入手したキゾンバ・シンガー、アリーのセカンドは、ほんとによく聴きました。 通勤時にヘヴィ・ロテとなる盤でも、長くて4か月で新しいアルバムと交替しますが、 アリーの12年作は、半年以上も聴き続けましたからねえ。 曲はいいし、チャーミングな歌いぶりがもうタマらなくって、 交替するのが忍びなかったのです。 またアリーのような良作との出会いを求めて、...
View Article絶好調のキゾンバ アンナ・ジョイス
もう1枚手に入れたのが、アンナ・ジョイス。 この人は典型的なキゾンバ・シンガーですね。 センバはまったくやっていません。 非キゾンバのバラードも歌っていて、ポップ寄りのシンガーといえそう。 アダルトなセクシーさと、キュートさをあわせ持ったシンガーで、 フェイクでしゃくリ上げるように、せつなく歌うところなんて、 アリーの魅力とも共通していて、もうマイっちゃうなあ。...
View Article10年の沈黙を破って ニュ・クイン
アメリカの越僑社会が生んだヴェトナム歌謡の最高峰、 ニュ・クインが沈黙して、はや十年以上。 ソロ・アルバムは11年の“LẠ GIƯỜNG” が最後となり、 フイン・ジャ・トゥアンと共同名義で出した12年作以降、 クインの歌声を聴くことができなくなってしまいました。 https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2011-04-05...
View Articleエレクトロ・イサーン・ソウル ラスミー
うわぁ、こりゃあ面白い才能が出てきましたね。 タイ東北部イサーン出身のシンガー・ソングライターという、 ラスミー(・ウェイラナ)の新作。 「タイのオルタナティヴ」という紹介をされている人のようですけれど、 本作を聴くかぎり、新世代ジャズ・ヴォーカリストの文脈で紹介した方が、 より注目が集まるんじゃないのかしらん。 いや、じっさいのところ、この人にジャズの資質はないんだけど、...
View Articleオリエンタル・サイケ・ジャズの成熟 ブラック・フラワー
エチオ・ジャズに触発されたバンドが、世界中から登場するようになって、はや10年。 数あるバンドのなかでも、充実した作品を出し続けているのが、 ベルギーのブラック・フラワーです。 以前、14年のデビュー作を紹介しましたけれど、 https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2016-04-30 記事にしそびれた16年のセカンド作“ARTIFACTS”...
View Articleフランス人ギタリストのアフロ・ポップ ヨアン・ル・フェラン
フランス人ギタリスト、ヨアン・ル・フェランによる、マリ・プロジェクトの初作。 冒頭から、ハイラ・アルビーのヴァイタルな歌声が飛び出して来て、 いきなり破顔しちゃいましたよ。 ベンディールのパーカッシヴな打音に、ノイジーなギターが被さって ハイラ・アルビーが歌い出すと、やがて一弦フィドルのソクが絡み始めて、 ハイラとバック・コーラスが引き継いでいく。 なんなんすか、この出だしのカッコよさ!...
View Articleアソウフ溢れるトゥアレグ・バンド ダグ・テネレ
エトラン・ド・ルアイルの新作が届いて間もないんですけれど、 https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2022-03-04 また新たなるニジェールのバンドの新作が届きました。 といっても、昨年出ていたのを、今になって気付いたんですけれども。 タマシェク語で「砂漠の子供たち」を意味する ダグ・テネレというバンドで、女性二人を含む7人編成。...
View Articleキューバ生まれ、モスクワ育ちのラテン・ジャズ アレクセイ・レオン
う~ん、楽しい! こんなに明快なラテン・ジャズ作は、今日び貴重なんじゃないですかね。 ボビー・ティモンズのファンキー・チューン‘Dot Dere’ でスタートするなんて、 オールド・スクールにも程があるけど、素直にカッコよく思えるのは、 時代がもう一巡りも二巡りも(もっとか?)したからなんでしょう。 主役のアルト・サックス兼フルート奏者、アレクセイ・レオンは、...
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