こりゃあ、痛快!
ラテン・ジャズのスペクタルを堪能できる1枚。こういうのが聴きたかった!
キューバ人ピアニスト、アロルド・ロペス・ヌッサの新作は、
ピアノ・トリオにトランペットを加えたカルテット編成で、
ラテン・ジャズをティンバのアプローチで演奏した快作に仕上がっています。
パワフルでファンキー。
アロルドがここで展開しているサウンドを表現すれば、これにつきるでしょう。
シマファンクをフィーチャーした‘El Buey Cansado’ がその白眉ですね。
アロルドのピアノとトランペットが高速フレーズをキメる快感ったら、ありませんよ。
これはもうラテン・ジャズなんて古臭いラベリングをせず、
ティンバ・ジャズと呼ぶべきなのかも。
複雑な構成のリズム展開のなかに、レゲトンを取り入れてキャッチーに聞かせたり、
マンボとティンバをシームレスに繋いだり、ティンバに変貌したグァヒーラもあれば、
アイディア満載のアレンジがツボにはまりまくっていますね。
トゥンバオがもっとも映えるところでピアノを鳴らすなど、場面作りが上手いんだよなあ。
アコーディオンをゲストにミシェル・ルグランにオマージュを捧げたり、
クラシックの基礎を披露する曲などもあって、
万華鏡のようなレパートリーにクラクラします。
ラストは、ロス・バン・バンのソンゴがニュー・オーリンズと出会うという演出。
おそれいりました。
ノリにノッている才能とは、まさにこういう人のこと。
アルバム・タイトルの「だから言っただろ」をそのまま表わしたジャケットも痛快です。
Harold López-Nussa "TE LO DIJE" Mack Avenue MAC1179 (2020)