『プレーナ プレーナ プレーナ』。
プレーナ3連発!のジャケットに目を奪われました。
アリゾナ出身のジャズ・ピアニスト、マイケル・エクロスの新作。
オルケスタ・アコカンのピアニストで知られる人ですね。
ピアノ、ベース、ドラムス、コンガ、サックスのクインテット編成を基本に、
ベースとドラムスの交代要員とアディショナル役のパーカッション2名、
ゲストでトロンボーンとトランペットが参加しています。
タイトル曲の‘Plena’ は、エレガントなムードで弾き始めるピアノのメロディに、
え? これのどこがプレーナ?といぶかったものの、
バックでコンガ(?)が、控えめにパンデレータのリズムを叩いているようです。
控えめすぎて、というか、コンガらしからぬニブい音のうえに、
パンデレータの響きが聞こえないので、なんともプレーナの雰囲気はしないんだけど、
たしかにギロも使ってはいるみたいですね。
というわけで、アルバム・タイトルで大書きするほどのプレーナ気分は味わえませんが、
全編オーソドックスなジャズのスタイルで通した演奏は、とても充実しています。
コンガほかパーカッションを強化した曲では、ボンバのリズムも聴き取れるなど、
プエルト・リコのリズムに寄せたラテン・ジャズらしい楽しみが十分味わえますよ。
全曲エクロスの作。コンテンポラリーな曲でも、耳残りするメロディックなパートがあり、
メランコリーな作風にエクロスの楽曲の良さが際立ちます。
エクロスのピアノ・タッチもリリカルで、
ハービー・ハンコックのさざ波フレーズを引用したりと、熟練のスキルを感じさせます。
格闘技に寄せたラテン・ジャズがどうも苦手なので、
こういう人懐っこいコンテンポラリー・ラテン・ジャズは、好みなんであります。
Michael Eckroth Group "PLENA" Truth Revolution #TRRC055 (2021)