エトラン・ド・ルアイルの新作が届いて間もないんですけれど、
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2022-03-04
また新たなるニジェールのバンドの新作が届きました。
といっても、昨年出ていたのを、今になって気付いたんですけれども。
タマシェク語で「砂漠の子供たち」を意味する
ダグ・テネレというバンドで、女性二人を含む7人編成。
元エトラン・フィナタワのギタリスト、グマル・アブドゥル・ジャミルと、
イブラヒム・アフメド・ギタのツイン・リード・ギター、ツイン・リード・ヴォーカルで、
作曲も二人がしています。
ニジェール、ブルキナ・ファソ、マリ出身のトゥアレグが集まったバンドで、
ニアメーを拠点に活動しているとのこと。
18年にデビュー作をデジタル・リリースして、今回の2作目となるEPは、
アフリカ文化基金(ACF)の支援を得られたからなのか、CDも制作されました。
クレジットをみていて、あれ、と思ったのが、瓢箪の水太鼓の名で、
アサカラボと書いてありますね。こういう呼び名を聞くのは初めてだったんですが、
タマシェク語の呼び名なんでしょうか。
ちなみに、水太鼓を知らない方のために、一応説明すると、
半分に切った大きな瓢箪に水を入れ、それより小さいサイズの
半切りの瓢箪を水に伏せて浮かべ、その瓢箪の表面を
バチで叩く打楽器なんですが、一般に女性が演奏します。
女性が皮の膜面を持つ打楽器を叩くのはタブー視する社会が多いため、
水太鼓やガラガラが、西アフリカでは女性用の打楽器となっているんですね。
ブルージーなギター・サウンドを前面に出したダグ・テネレは、
タカンバ色の濃いエトラン・ド・ルアイルとはだいぶ異なり、
ティナリウェンやタミクレストに通じる、
アソウフ(トゥアレグにとっての郷愁や思慕)の情感を色濃く表すバンドですね。
全6曲わずか17分50秒の収録時間ですけれど、各曲の曲想が豊かなのが印象的。
男声のドローンのような反復と、女声のウルレーションが、
トランシーな催眠をもたらすラストのタイトル曲が、2分にも満たないのは残念です。
このトランシーなグルーヴは、少なくとも5分くらい、
できれば15分以上、たっぷりと溺れてみたい曲です。
Dag Tenere "ISWAT" Dag Tenere D.L.B7752-2021 (2021)