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キューバ生まれ、モスクワ育ちのラテン・ジャズ アレクセイ・レオン

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Alexey León  INFLUENCIADO.jpg

う~ん、楽しい!
こんなに明快なラテン・ジャズ作は、今日び貴重なんじゃないですかね。
ボビー・ティモンズのファンキー・チューン‘Dot Dere’ でスタートするなんて、
オールド・スクールにも程があるけど、素直にカッコよく思えるのは、
時代がもう一巡りも二巡りも(もっとか?)したからなんでしょう。

主役のアルト・サックス兼フルート奏者、アレクセイ・レオンは、
キューバのマンサニージョで生まれ、ロシアのモスクワで育ったという人。
これが4作目だそうですが、コンテンポラリーの影響を感じさせない、
ハードバップ・スタイルのラテン・ジャズを聞かせる人です。

ゆいいつタイトル曲の‘Influenciado’ に、
ハードバップをはみ出たハーモニーが聴き取れますけれど、
本領はオーソドックスなジャズでしょうね。
でも、これがちっとも古臭くなくって、フレッシュなんです。
若い世代によるアフロ・キューバン・ジャズの新解釈といった感じが、いいんです。

メンバーはキューバ人ミュージシャンが中心で、
カラメロ・デ・クーバことハビエル・マソー“カラメロ”のピアノが好演。
ドラマーは、キューバ人とスペイン人ドラマーの二人が起用され、交替で叩いています。

レパートリーは、アレクセイのオリジナル8曲に、さきほどのティモンズ作と、
ジェローム・カーンの「今宵の君は」の全10曲。
フレッド・アステアで有名な「今宵の君は」を選曲するあたりも、
イマドキの若者らしからぬシュミですねえ。

アレクセイのオリジナルで面白いのが、
セカンド・ラインのビートを取り入れた‘Guarachando’。
グァラーチャを曲名に織り込んだとおり、陽気でポップな曲です。
セカンド・ラインとアフロ・キューバンって、クラーベという共通性もあって、
めっちゃ親和性が高いわけですけれど、こういう試みを聴いたのは初めてかも。

反対に、思わず背中に冷たいものが走るタイトルは、‘Kiev Station Blues’。
いまのキーウの惨状、とりわけブチャ虐殺の映像を見た者には、
冷静ではいられなくなる曲名です。こんなシャレたブルースは、
いまのキーウに、あまりにも似つかわしくないものとなってしまいました。

Alexey León "INFLUENCIADO" One World ALCV2021 (2021)

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