おー、やっと手に入りましたよ、ナイジェリアのヒップホップ異色作。
ティワ・サヴェイジはヒップホップじゃなくて、ポップスでしたけれど、
こちらは、正真正銘のヒップホップ。
なんで異色作かといえば、なんと歌っているのが、
フジ・シンガーのワシウ・アラビ・パスマだからなんですね。
ナイジェリアのメディアでも、デビュー・ヒップホップ・アルバムともてはやしていたので、
どんなもんだかと思っていたんですが、聴いてみたら、これが意外にも良い相性。
あのドスの利いたガラガラ声のパスマがヒップホップを歌うなんて、痛快じゃないですか。
ティワ・サヴェイジもゲストで1曲、パスマと一緒に歌っていますよ。
思えば10年代に入って、フジの新作をロクに聴かなくなってしまいました。
ちゃらいシンセに、ふにゃ〇〇サックス、ちんたらギターがフィーチャーされた
ナンパに成り下がったフジは、十年一日相変わらずで、
サウンドやプロダクションに向上心のカケラもみられないやる気のなさは、
アフロ・ポップのなかでダメになったジャンルの筆頭格でしょう。
そんなダメになったフジに安住してるようじゃ、
30年来のファンもいい加減見限ろうというものですけれど、
ヒップホップで新境地をみせる意欲は買いたいですねえ。
そんな意欲がいい刺激となったのか、
昨年クリスマスにリリースされたばかりのフジ新作の方も、いい出来でした。
1曲目こそジュジュを取り入れたナンパなフジですけど、
25分を超す長尺の2・3曲目は、トラップ・ドラムとトーキング・ドラム隊が疾走する正調フジ。
シンセやギターが一部にアクセントで入るものの、本編はパーカッション主体で迫り、
パスマもパワフルにコブシをぐりんぐりん回します。
やっぱ、このイスラミックな強力なコブシ使いと、
トーキング・アンサンブルのかけあいあってこそのフジですよね。
ひさしぶりにパスマの粗いガラガラ声にシビれさせてくれた、
異色ヒップホップとフジの2作でした。
Pasuma "MY WORLD" Wassar no number (2015)
Alhaji Wasiu Alabi Pasuma "GAME CHANGER" Sarolaj Music & Films SMF010 (2015)