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エチオピアン・コンテンポラリーR&Bの新星 ニーナ・ギルマ

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Nina Girma  MAJETE.jpg

いよいよエチオピアでも、アフロビーツ世代の登場ですね。
これまで発表したシングル3曲ではラップを披露していたニーナ・ギルマですが、
エチオピアで2月17日に発売されたデビュー作は、
ラッパーにとどまらず、シンガーとしての魅力をアピールしています。

まず聴く前から、ジャケットのヴィジュアルに感じ入っちゃいました。
欧米のポップスとなんら遜色のないデザイン・センスは、
これまでのエチオピアン・ポップとは、がらりイメージの変わるもの。
それでいて、ニーナのファッションを見れば、耳飾りやラフィアで編んだ帽子に、
エチオピアの伝統が取り入れられていて、
伝統とモダンの鮮やかな融合が見て取れます。
こうしたアフリカのイメージを刷新するモダンなヴィジュアルは、
近年のアフリカのファッション界のトレンドでもありますね。

そんな秀逸なジャケットが、アルバムの音楽性を匂わせるとおり、
コンテンポラリーなR&B/ヒップホップ色の強いサウンドにのせて、
ニーナのチャーミングなヴォーカルが、いきいきとハジけています。
そしてジャケットが暗示するとおり、マシンコ、クラールといった
エチオピアの伝統楽器を使ってエチオピア民俗色を溶け込ませることも
忘れておらず、ダンスホール/ラガやアフロビーツと親和性の高いサウンドに、
エチオピアのアイデンティティを刻印しています。

本作を制作したのが、活躍目覚ましい若手プロデューサーのカムズ・カッサ。
ぼくがカムザに注目するようになったのは、
ティギスト・ウォーイソのアルバムがきっかけでしたけれど、
ティギスト・ウォーイソの09年作が、カムズのプロデュース初仕事だったとのこと。
今回初めて知りましたが、その後二人は結婚したんですね。
カムズは、ティギストと同じ南部ワライタの出身なんだそうです。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2013-07-07
(『音楽航海日誌』のサンプラーで、ティギスト・ウォーイソが聞けます)

カムズは、10年代からエチオピアのミュージック・シーンで活躍を始め、
アスター・アウェケ、テディ・アフロ、ハメルマル・アバテなど、
多くの歌手を手がける敏腕プロデューサーへと成長しました。
そのカムズが全面バックアップしたことは、CD背表紙にもカムズの名が書かれ、
インナーの裏表紙にカムズの写真がでかでか載っていることにも、よく表れています。

3年前、チェリナのデビュー作に、
エチオピアン・ポップの世代交代を実感したものですけれど、
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2020-01-06
ニーナ・ギルマがそれに次ぐ大型新人であることは、間違いないですね。

Nina Girma "MAJETE" Shakura no number (2022)

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