![Lia Sampai AMAGATALLS DE LLUM.jpg](http://bunboni58.c.blog.ss-blog.jp/_images/blog/_17d/bunboni58/Lia20Sampai2020AMAGATALLS20DE20LLUM.jpg)
カタルーニャのインディ・レーベル、ミクロスコピの作品が初入荷。
入荷した全タイトルをチェックして、アンテナにひっかかった2作品を買ってみました。
その1枚が、前回のジャズのアルバ・カレタ・グループだったんですけれど、
もう1枚は、女性シンガー・ソングライターのリア・サンパイ。
カタルーニャの女性シンガー・ソングライターといえば、
シルビア・ペレス・クルースが大人気ですけど、
実はぼく、彼女がまったくダメなんですよ。
現代っ子特有の発声や、自意識の強い歌いぶりが、超苦手。
そんなわけで、警戒しつつ聴いてみたんですが、このリア・サンパイは大丈夫でした。
気取りのない、抑制の利いた歌いぶりに、まず好感。
ひらひらと蝶のように舞う歌い回しが軽やかで、耳に心地良く響きます。
声高なシルビア・ペレス・クルースとは大違い、なぞといらん憎まれ口を叩いたりして。
繊細だけど力強さのある、豊かで深みのある歌唱を聞かせます。
そして、リアのパートナーであるアドリア・パジェスのギター伴奏が素晴らしい。
クラシック・ギターの奏法がベースとなっているものの、
ナイロン弦の響きがどこまでも柔らかで、エッジの立った音は出てきません。
ハーモニクスを多用した奏法を聞かせたりと引き出しの多い人で、
フラメンコ的な表現が借用される場面でも、ギターのタッチはまろやかで、
パルマをゆったりとさせたような手拍子もおだやか。
エレクトリック・ギターを使った曲でも、そのギター・トーンは甘やかです。
アドリアのアレンジは、シンプルなギター伴奏の静謐なサウンドを保ちながら、
ヴァイオリンとチェロの弦セクションや、
ピアノやグロッケンシュピールを効果的に使って、
ぬくもりのある音楽世界を織り上げています。
抑制の美学を感じさせますねえ。
そんなリアの音楽をヴィジュアル化したジャケットも、すごく気に入っています。
ピクトリアリズム調のポートレイト写真は、気品がありますねえ。
視線を落としたリア・サンパイのうつろな表情が、またいいんだな。
スティーグリッツが撮ったオキーフみたいでさ。
画質は、メイプルソープが撮ったパティ・スミスみたいなシャープさ。
ファイン・アート・フォトグラフが好きな人なら、ほっとけないでしょう、これ。
Lia Sampai "AMAGATALLS DE LLUM" Microscopi MIC189 (2021)