「マイケル・ウルバニアク」と書かれることがもっぱらの、
ポーランド出身のジャズ・ヴァイオリニスト。
「ミハウ・ウルバニャク」と書いた方がいいんじゃないかと思うんですが、
この人のフュージョン作で、80年にモータウンから出たアルバムを、
その昔愛聴していました。
ベースにマーカス・ミラー、ドラムスにバディ・ウィリアムズ、ヨギ・ホートンという、
当時のニュー・ヨークでファースト・コールのミュージシャンが参集。
このアルバムが出た同じ80年に、
マーカス・ミラーは渡辺香津美の『TO CHI KA』で、
バディ・ウィリアムズは川崎燎の『LIVE』で共演し、日本でも大人気でした。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2011-05-29
そして、ピアノにはケニー・カークランド、ギターはドック・パウエルが
参加しているんだから、このメンバーを見ただけで、買いでしたね。
ウルバニャクはクセのある音楽をやる人で、女房のウルシュラ・ドゥジャクの
エキセントリックなヴォーカルが興ざめなこともあり、長く敬遠してましたけれど、
本作は珍しく(?)ジャケットの趣味も良く、飛びついたんだっけ。
モータウンから出たフュージョン作という珍しさが災いしたか、
長らくCD化が実現しませんでしたけれど、
ウルバニャクの自主レーベルUBXから、CD化されました。
聴いてみると、知らない曲がいきなり飛び出して、びっくり。
なんと冒頭1曲目とラスト2曲に、LP未収録曲が追加されているんですね。
ソング・リストにもクレジットにも、追加に関してなんの説明もなくて、
この3曲、未発表曲だったってことなの?
最初聴いた時は、驚きはしたものの、
3曲それぞれが座りのいい曲順に配置されていて、
オリジナルLPを知らなければ、違和感なく聞けるんじゃないですかね。
キャッチーなコーラスが加わるポップな‘Bad Times’ を
アタマに置いたのなんて、大正解じゃないですか。
もともとこういう曲順で出す予定が、なんらかの事情でカットしたのかなあ。
というわけで、オリジナルより内容が良くなった本作、
40年ぶりに聞いても、まったく古さを感じさせません。
ウルバニャクのオリジナルに、マーカス・ミラーが作曲した曲や、
『ネフェルティティ』でよく知られるウェイン・ショーター作の‘Fall’ もやってます。
フュージョン・ヴァイオリンでは、ノエル・ポインターのデビュー作
“PHANTAZIA” とともに、忘れられない名作です。
ところで、追加された‘Bad Times’ ‘North One’ ‘French Kiss’ 3曲について
調べてみたところ、ストリーミングに上がっている“SOMETHING SPECIAL” という
タイトルのアルバムに収録されていることが判明しました。
81年リリースという表示があるものの、ミハウ・ウルバニャクの公式サイトにも、
ウィキペディアほかのディスコグラフィにも、このアルバムの記載がなぜかありません。
フィジカルの存在を調べてみると、“MICHAL URBANIAK” のタイトルで、
ヘッドファーストというMCA系列のレーベルから出ていたことがわかりました。
ジャケットはストリーミングのものと違っていて、なんだか手抜きぽいデザイン。
なんとかCDを入手してみたんですが、“SERENADE FOR THE CITY” と
レコーディング・スタジオ、エンジニアも同じなら、
参加ミュージシャンの顔ぶれもほぼ同様です。
ところが、録音年月日の記載がないので、同時期の録音なのかどうかわかりません。
アルバムもう1枚分を録音していたのを、翌年にリリースしたものなのかなあ。
もうひとつ引っかかるのが、81年ならば、CDのみリリースというのは
考えにくいんですけれど、LPの存在が確認できないのも不可解です。
MCA系列のレーベルから出ているので、非公式な盤であるわけないでしょうが、
公式サイトも無視するこのCD、どうにもナゾですね。
Michal Urbaniak "SERENADE FOR THE CITY" UBX UBX10280 (1980)
Michal Urbaniak "MICHAL URBANIAK" Headfirst A635-2 (1981)