ダニエル・ミグリアヴァッカというバンドリン奏者は、初めて知りました。
スゴ腕ですねえ、この人。相当な実力者とお見受けしました。
なんか前にも、このジャケットと構図そっくりの
バンドリン奏者のアルバムがありましたよね。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2017-09-26
経歴を見ると、サン・パウロ生まれで、2000年にクリチーバに移住してから、
この地で活躍するショーロ・ミュージシャンとなったようです。
なんだかここ4・5年、クリチーバのショーロ音楽家の活躍が目立ってきましたねえ。
クリチーバ室内管弦楽団の客演ソリストとして演奏したり、
クリチーバMPB音楽院でショーロ・アンサンブルの講師を務めるほか、
クリチーバのパイオール劇場でのコンサートを企画したり、
ガフィエイラの音楽監督やプロデューサーもしているそうです。
ソロ・アルバムもすでに5作出していて、共同名義作も2作あるんですね。
いやあ、知りませんでした。
13年の本作は、ダニエルのバンドリン、7弦ギター、ベース(タテ・ヨコ)、
ドラムスの4人で、自作のショーロ・ナンバーを中心に、
エルメート・パスコアールの‘Nas Quebradas’
ジャコー・ド・バンドリンの‘O Vôo Da Mosca’ といった曲を演奏しています。
ベースとドラムスがいる編成ですけれど、ジャズ色はなく、
伝統ショーロの音楽性を基礎に置いた演奏となっています。
ダニエルが書くショーロは、歌心が零れ落ちる‘Manhãs’ のような美しい曲あり、
高速ソロを展開するテクニカルな‘Santo Forte’ ありで、
ジャズの語法を借りずとも、現代ショーロらしさを十分に発揮しています。
エルメートの‘Nas Quebradas’ は初めて聴きましたが、とても楽しいフレーヴォ。
中盤で不協和音の複雑なパッセージが登場するところが、エルメートらしい。
ジャコーの‘O Vôo Da Mosca’ は、6弦エレクトリック・ベースとのデュオで、
集中力のあるスリリングな演奏を聞かせます。
ただ、ちょっと首をひねったのは、超有名曲の‘Manhã De Carnaval’。
この曲だけ、ジルソン・ペランゼッタがゲストでピアノを弾いていますが、
ショーロ・アルバムには場違いな感が否めません。
このトラックは、なくても良かったんじゃないかな。
Daniel Migliavacca "TOCANDO À VONTADE" Gramofone GRAMO01CD2013 (2013)