アウトレット・セールで、ブラジル盤をまとめ買いしちゃいました。
日頃のチェックで気になったブラジル音楽のCDは、
おおむね買っているつもりなんだけど、
けっこう見落としているアイテムがあるんですねえ。
ここ10年分くらいの在庫一掃セールのリストを眺めていたら、
何だコレ?とまったく見覚えのないものが、ちょこちょこありました。
まず、ビスコイト・フィーノから16年に出ていた、
『カヴァキーニョでサン・ジョアン祭』。
ノルデスチの庶民文学の小冊子、リテラトゥーラ・デ・コルデルの木版を
デザインしたジャケットが、北東部音楽好きのココロをくすぐります。
主役のカヴァキーニョ奏者、セルジオ・シアヴァッゾリという名は初耳。
ショーロのカヴァキーニョ奏者で、北東部音楽を演奏した人といえば、
その昔はヴァルジール・アゼヴェードがバイオーンをよく援用していました。
フレーヴォを演奏したジャカレーなんて人もいましたけれど、
セルジオ・シアヴァッゾリはこのアルバムで、
フルート(ピファノ?)、ベース、ザブンバとともにフォローを演奏しています。
ちなみにザブンバを叩いているのは、
元ノーヴォス・バイアーノスのジョルジーニョ・ゴメスですよ。
レパートリーは、30年代に数多くのカーニヴァル・ヒットを放った
ラマルチーニ・バボが作曲し、カルメン・ミランダが歌ったマルシャの
‘Chegou A Hora da Fogueira’ ‘Isto É Lá Com Santo Antônio’ や、
ベネジート・ラセルダ、ルイス・ゴンザーガといった通好みの選曲。
アルバム最後に、タイトルとなっているセルジオのオリジナル曲を演奏しています。
レコーディングは16年4月9日のたった一日で、10曲を一気に録り終えていて、
なるほど4人の息の合った演奏の絶好調ぶりが、伝わってくるようじゃないですか。
フォローの快調なツー・ビートが、腰に刺さります。
カヴァキーニョの演奏も痛快そのもので、楽しいったらありません。
セルジオ・シアヴァッゾリという人をチェックしてみると、
どうやらショーロ・ミュージシャンじゃないようですね。
ジルベルト・ジル、カエターノ・ヴェローゾ、ガル・コスタ、ジャヴァン、
ミルトン・ナシメント、カルリーニョス・ブラウン、イヴェッチ・サンガロほか、
錚々たるミュージシャンのバックを務めてきたマルチ弦楽器奏者で、
ユッスー・ンドゥールやシェブ・マミとの共演歴まである人でした。
過去作を見ると、クリスマス・アルバムなど企画作を多く出している人なんですね。
どんな求めにも応じられる、裏方のヴェテラン・プレイヤーなのかなあ。
本作も、ビスコイト・フィーノのリクエストに応じて制作されたものなのかもしれません。
Sergio Chiavazzoli "SÃO JOÃO DE CAVAQUINHO" Biscoito Fino BF435-2 (2016)