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イングランド魂を伝えて フェイ・ヒールド

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Fay Hield  OLD ADAM.jpg

北イングランド、キースリー出身のトラッド・シンガー、フェイ・ヒールドの新作。
4人組ア・カペラ・グループ、ウィッチーズ・オヴ・エルスウィックのメンバーだった人ですね。
フィドル奏者のジョン・ボーデンと結婚して出産するまでの間、音楽活動を中断していましたが、
10年にソロ・デビューして、これが4作目。
彼女の最高作に仕上がったといえるんじゃないでしょうか。

ジャケットの表紙写真からして、これまでのアルバムとは雰囲気が違いますよね。
3つ折となったペイパー・フォルダーを開けると、さらに素晴らしいアートワークが。
歌詞カードの写真も、イマジネイティヴに富んだシチュエイションで撮影されていて、
このアルバムにかけるフェイの意気込みが伝わってくるかのようです。

早速CDをトレイにのせると、のっけから太いばちで叩かれる太鼓の低音に、
唸りを上げるウッド・ベースがからんできて、腹にずしりとくる響きに驚かされます。
イングランド・トラッド/フォークの定型に安住しない、アイディアに富んだサウンドづくりは、
サム・リー登場以降の良い傾向ですね。

ハリケーン・パーティを名乗るフェイのバック・バンドには、若干のメンバー異動があり、
今作ではご主人のジョン・ボーデンはゲスト扱いとなり、フィドルのサム・スウィーニー、
コンサーティーナのロブ・ハーブロン、ギター兼バンジョー兼フィドルのロジャー・ウィルソン、
ベースのベン・ニコルス、パーカッションのトビー・カーニーの5人となっています。
ゲストに、ヴェテランのマーティン・シンプソンも加わっています。
今回の最大の立役者は、新メンバーのトビー・カーニーとベン・ニコルスの二人ですね。

レパートリーは、伝統詩にフェイやジョンが曲を付けたもの。
1曲だけ、トム・ウェイツの93年作“The Briar and The Rose” を歌っているのは、
どういう趣向なのかよくわかりませんが、他の曲と違和感なく収まっています。
甘さを排した武骨さのある歌い口にはイングランド魂がこもっていて、
バラッドやソングを歌うのに、これほどふさわしいものはありません。

Fay Hield "OLD ADAM" Fayhield SOPO5003 (2016)

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