フィロー・マシャードを思わせる1曲目で、ぎゅっと胸をつかまれました。
続く2曲目も、柔らかなサウンドに甘いメロディで、
もっとも良質の70年代MPBを聴くかのよう。この2曲ですっかりマイってしまいました。
本作の主役ブルノ・バレートは、83年ニテロイ生まれの若きパーカッショニスト。
テレーザ・クリスチーナのグルーポ・セメンチのメンバーで、
これがソロ・デビュー作だそうです。
そのテレーザ・クリスチーナとグルーポ・セメンチに
アルリンド・クルスをゲストに迎えたサンバあり、
オス・チンコアス(懐かしい!)の曲にアダプトしたサンバ・ソウルでは、
サンドラ・ジ・サーがゲストで歌っています。
アルバムを通して印象的なのは、
オシュン、イエマンジャー、オシュマレー、シャンゴー、ナナンなど、
カンドンブレの神々を歌った曲がとても多いこと。
一聴して70年代MPBを思わせたのも、
アフロ・ルーツを見直し、バイーアへ注目が集まった
70年代のMPBに作風が似ているからなんですね。
そういえば、最近はこういうカンドンブレにまつわる曲が、
MPB周辺から聞かれなくなりましたね。なんでだろ。
ブルノくんがパーカッショニストだからなのか、
北東部のマラカトゥも取り上げていて、レパートリーはとてもカラフルです。
アレンジは、パゴージ・ジャズ・サルディーニャ・クラブで
サックスとフルートを担当するエドゥアルド・ネヴィス。
最近MPB作品で活躍している俊英で、アコーディオンの起用が成功しています。
アフロ・ルーツも交えたメロディアスなメロウ・サンバのMPB、嬉しいですね。
Bruno Barreto "ORIGEM" no label no number (2015)