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イベリアン・パーカッション・オーケストラ コエトゥス

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Coetus ENTRE TIERRAS.jpg

パーカッション・ミュージック・ファンにはたまらない、スペインのグループを見つけました。
といっても、スペイン音楽ファンならとっくにご存知でしょうけれど、
初のイベリアン・パーカッション・オーケストラを自称するという、コエトゥス。
スペインのタンバリン、パンデレータをはじめ、
イベリア半島各地のパーカッションを総合化しようという野心的な試みのもと、
アレイクス・トビアスが編成したオーケストラで、
12年の2作目を聴いて、すっかりファンになりました。

アレイクス・トビアスは、カタルーニャ民謡を現代化するグループ、
チャルパのパーカッショニストとして知られていますけれど、
自身が率いる20名近いメンバーを擁するオーケストラでは、
カタルーニャにとどまらず、イベリア半島全域を見据えたところが大胆です。

ライナーの歌詞カードには、各曲小さなスペインの地図が書かれていて、
その曲が歌われている地域に赤丸が付けられているんですが、
それを見ると、イベリア半島の各地から伝承曲が選ばれていることがわかります。
イベリア半島から遠くカナリア諸島の歌もあれば、
イベリア半島以外では、ベネズエラのシモン・ディアスの曲も取り上げられています。

演奏は、腹に響く重低音のパーカッションを押し出しながら、
伝承曲ごとにカラフルな伴奏が付けられています。
カタルーニャのダンス・チューン、サルダーナでは、ダブル・リードのティブレとテノーラが使われ、
ノイジーなビリビリ音で気分を盛り上げるほか、シンティールやベンディールをフィーチャーした
マグレブ・アラブ色濃厚な曲もありますよ。
鳥の音や風のざわめきなどの効果音を打楽器で出したりと、
演奏の手法はフォークロアな作法に従ったオーセンティックなものではなく、
イマジネイションに富んだアイディアがふんだんに使われているところに感心しました。

またフィーチャーされているシンガーが魅力的で、
ジュディット・ネッデルマンという若い女性シンガーにホレました。
太鼓の響きを浴びて、透き通る清涼感あふれる声が、まばゆいですね。
今話題のシルビア・ペレス・クルースも1曲参加しているんですが、
ぼくはジュデイットの方に、好感を持ちました。
一方、ヴェテランのトラッド・シンガーのエリセオ・パラは、安定感のある歌声を聞かせていて、
太鼓中心ではない、歌ものとしての伝承曲の魅力を全開にしています。

Coetus "ENTRE TIERRAS" Temps TR1284GE12 (2012)

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