アマリア・ロドリゲスのディスコグラフィ本と一緒に買ったのが、
トラジソンのファド新シリーズ“MEMÓRIAS DO FADO” 全6タイトルのうち、
アルマンディーニョ、エルシーリア・コスタ、エルミーニア・シルヴァ、
フェルナンド・ファリーニャの4タイトル。
既発CDとほとんど曲はダブリなんだよなと思いつつ、
表紙のイラストがとってもカワイイ♡こともあり、観念して購入。
この新シリーズはブックレット仕様で、解説が充実、
往年の写真やレコード・レーベルなどもふんだんに載せられていると聞いたので、
手を伸ばしたんだけど、アルマンディーニョなんてまったく同じ収録曲で、これで3枚目。
古典ファドの編集盤って、どれも同じような選曲で、
手を変え品を変え出すっていうの、もういい加減にしてくんないかなあ。
トラジソンが以前に出していた“ARQUIVOS DO FADO” というシリーズと、
今回シリーズのアルマンディーニョ、エルシーリア・コスタは、収録曲がまったく同じですからねえ。
あのシリーズのアマリア・ロドリゲスのデビュー当初の録音集“A DIVA DO FADO” だって、
なんで出すのか意味不明だったもんなあ。
ライスから『アマリア 1945』として日本盤も出ましたけれど、あのアルバムに収録された20曲は、
ブラジルのレヴィヴェンド盤“DAMA DO FADO” で全曲復刻済。
しかもレヴィヴェンド盤より曲数が5曲も少ないんだから、リイシューする価値ないでしょう。
レヴェイヴェンド盤は廃盤になっておらず、今も入手容易なんだから、なおさらですよ。
とまあ、古典ファドの似たりよったりの編集盤がどんどん積み上がるのに、
いい加減閉口してるので、うっぷん爆発しちゃいましたが、
気を取り直して、これから古典ファドを聴いてみようという方には、もちろんオススメできます。
あらためて再認識したのは、アマリア登場以前のファド歌手では、
エルミーニア・シルヴァが最高だということ。
歌手であるばかりでなく、ミュージカル女優としても活躍した
エルミーニアの自信に満ちた堂々たる歌唱は、当代随一でした。
まるでおしゃべりをするように、無理なく回るこぶしの鮮やかな技巧、
一気に高音へ駆け上がっていく声の美しさ、
鋭さと柔らかさを兼ね備えた唱法はスゴイの一語に尽きます。
ふんわりと包み込むような歌い口を聞かせるなど、さまざまな表情を持った歌い手で、
ひさしぶりに聴きホレちゃいました。
Hermínia Silva "MEMÓRIAS DO FADO" Tradisom MF005