モロッコのシャバービー・シンガー、ジャナットの4作目にあたる新作が届きました。
3年ぶりの新作も、前作同様ロターナからのリリースです。
なので、お買い求めはお早目に、ですよ。
いつだか、「ロターナだからいつでも買える」なんて言っていた人がいましたけど、
アラブ・ポップスのCD流通状況が一変したことを、ご存知でない方も多いようですね。
いまやロターナの新作をフィジカルで入手するのは、えらく困難となっているのでした。
すべてダウンロード販売にしたいのが、ロターナの本音なんでしょうけれど、
そうもいかずに、しぶしぶフィジカルも作っているというのが、現在の状況。
フィジカルはイニシャルで申し訳程度に作って、それでおしまい。
大スターのヒット作すら、けっして再プレスしようとしないんですからねえ。
わずかばかりプレスされたフィジカルは、アラブの業者同士で争奪戦となっているので、
日本のバイヤーがまとまった数を確保するのだって、たいへんなはず。
オフィス・サンビーニャさんも、苦労してるんじゃないかなあ。
で、ジャナットの新作。
モロッコ出身といっても、ドバイの歌謡コンテストで優勝し、エジプトでデビューしたこともあり、
熱血モロッコをイメージさせる雰囲気はまるでなく、
アイドルぽいかわいらしい声で歌い、こぶしもあまり使わない人です。
イケイケなアップ・テンポより、ミドル/スロウ系のバラード・タイプの曲を中心に歌い、
せつなげな曲にいい味を出すので、ぼくがごひいきにしているシンガー。
あらためて棚を見たら、過去3作全部あったのには苦笑してしまいました。
今作は、珍しく冒頭2曲がアップテンポでスタートし、
打ち込みのうるさい1曲目はぼく好みじゃありませんが、
カーヌーンをフィーチャーしたイントロに始まる3曲目から、ぐっとアダルトな雰囲気に変わります。
これこれ、こういうせつなげなメロディが、やっぱジャナットには似合いますよ。
続く4曲目も柔らかなアクースティック・ギターのイントロに、
アコーディオンもフィーチャーされたロマンティックな曲。
以降すべてバラード・タイプのラヴ・ソングが並び、大満足であります。
Jannat "BE NAFS EL KALAM" Rotana CDROT1946 (2016)