蕩けますねえ。
つぶやくように歌う、セルソ・フォンセカのセクシー・ヴォイス。
やっぱこの人は、ボサ・ノーヴァを歌うのが、一番魅力的。
09年のギター弾き語りアルバム“VOZ E VIOLÃO” も、どんだけ聴いたことか。
CDだけでは飽き足らず、収録曲の多いDVDもずいぶん観たもんです。
男のぼくが観てても、ゾクゾクするんだから、女性ファンはもうたまらんでしょう。
さて、そんなセルソのボサ・ノーヴァ・ヴォーカルを堪能できる新作は、
セルソの単独名義となっているものの、ロナルド・バストスとの共作曲が大半を占めていて、
01年の“JUVENTADE - SLOW MOTION BOSSA NOVA” の続編とも言うべき内容。
セルソ・フォンセカが爪弾くギターのバチーダに、
管弦楽オーケストラが絡むシルキーなサウンドは、
クラウス・オマーガンが指揮したオーケストレーションで知られるジョビンの名作
“THE COMPOSER OF DESAFINADO, PLAYS” “WAVE” と見事にオーヴァーラップします。
フェロモン出まくりだった“JUVENTADE - SLOW MOTION BOSSA NOVA” と比べると、
さすがに年月を経た感がありますね。
円熟味を増して、若いギラギラ感が削ぎ落ちたってところでしょうか。
甘美なメロディ揃いで、とろっとろだったあのアルバムに比べると、
本作は色彩感を抑えた、シブい味わいのアルバムとなっています。
あのアルバムが甘口すぎると感じていた人には、むしろ本作の方がなじみやすいはず。
来日を望んでいるファンは大勢いると思うんですが、ゲストで来たことはあるものの、
いまだ単独公演は実現せず。今度の新作を機に、そろそろどうですかね。
Celso Fonseca "LIKE NICE" Universal 060254732677 (2015)