カデール・ジャポネを知ったのは、関口義人さん主宰のイヴェント「音樂夜噺」がきっかけでした。
http://ongakuyobanashi.jp/past_events/044/index.htm
イヴェントの内容は、ハレドの軌跡を追ったものだったんですが、
最後に粕谷祐己先生がかけられた、
ケッタイな芸名のライ歌手がとびっきり良くって、背中ぞくぞくが止まらなかったなあ。
すぐさま、カデール・ジャポネのCDを探し回ったことは、言うまでもありません。
あの時以来、ずいぶんひさしぶりに聴くカデール・ジャポネの新作。
うん、やっぱ、いいなあ、この人。
ハレド直系の歌いっぷりに、ますます磨きがかかりましたねえ。
さらに嬉しいのは、甘口のライ・ラヴにも、ダンス寄りのライアンビーにも頼らない、
80年代末のシェブ・ハレド、シェブ・マミがぶいぶい言わせてた当時のサウンド、
ラシード・ババ=アハメドが作り出したプロダクションを踏襲していることなんですよね。
79年生まれで、ハスニやナスロが好きでライを歌い始めたというジャポネの世代にとって、
このサウンドは「昔のライ」であって、流行のサウンドではないはずなんですけれども。
懐かしいアナログ・シンセの響き、ベンディールなどのパーカッションをふんだんに取り入れ、
トランペットやクラリネットもフィーチャーしたサウンドは、
80年代後半にポップ・ライをLPで初体験したファンにとって、頬が緩むものです。
そして、今作のとびっきりの聴きものが、ラスト・トラックのイムザードとの共演。
イムザードはタマンラセットで活動する、ぼくのごひいきのトゥアレグ人バンド。
http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2013-08-30
http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2014-07-28
この曲のヴィデオもあるんですけれど、
<ライ・ミーツ・デザート・ブルース>のコラボは大成功ですね。
この企画で、まるまる1枚共演作を作ってくれないかなあ。
Kader Japonais "HKAYA" Villa Prod no number (2016)