今年はとっておきのクリスマス・アルバムがあるんですよ。
年始めに入手してカンゲキし、クリスマスの季節まで寝かせておいた1枚。
アイルランド音楽ファンなら、もうとっくにご存知かもしれませんね。
アイルランド北西部コネマラの音楽一家に育ち、
母親からシャン・ノースの伝統を受け継いだ女性歌手ローシーン・エルサフティと、
クランのイーリアン・パイプス/フルート/ホイッスル奏者
ローナン・ブラウンによるクリスマス・アルバムです。
ローシーン・エルサフティは、02年の秋、アイルランド語による最高の全国祭典
エラハタス・ナ・ゲールゲで女性歌手部門1位に輝き、
その後も10年と14年のアイリッシュ・ミュージック・アワードの
ベスト・シャン・ノース歌手に選ばれた人。
彼女にとっても、これは最高作の1枚に数えられるんじゃないでしょうか。
ソフトな歌い口でゲール語を響かせるローシーンが、
定番のクリスマス・キャロルや「赤鼻のトナカイ」「ジングル・ベル」を歌えば、
そこにはお母さんの温かさイッパイの、愛情に包まれた夢見心地の世界が広がります。
リヴァーダンスのオリジナル・メンバーであり、
アフロ・ケルト・サウンド・システムのメンバーでもあった
ローナン・ブラウンのサウンド・クリエイティヴィティを発揮したプロダクションが鮮やか。
バックでうっすらと鳴らすキーボード奏者を使い、
少ない音数で効果的なサウンド・エフェクトを施しています。
ゴリゴリのアイリッシュの伝統魂を奥底に抱えつつ、
口当たりの良いアイリッシュの味わいを演出する手腕に、
ローナンのフトコロの深さを感じさせてくれますよ。
アイルランドのおとぎ話の世界へと誘う本作が、今年のクリスマスを祝ってくれます。
Róisín Elsafty & Ronan Browne with Tony Maher "AMHRÁIN NA NOLLAG : FAVOURITE CHRISTMAS SONGS IN IRISH" Cló lar-Chonnacht CICD200 (2015)