ジョーイ・ル・ソルダットに関連して、
アフリカン・ヒップホップの諸作をいろいろ聴き回っているうちに、
面白い逸材と出くわしました。
それがベニン出身のコフィなるラッパー。
13年のデビュー作という“ABLUME” は、
バックトラックがヒップホップらしからぬ生音のロック感覚で貫かれていて、
そのナマナマしいサウンドに引き付けられました。こりゃ、非凡ですな。
コフィのラップはほとんどがフランス語なので、正直ぼくの好みではないんですが、
とにかくバックトラックのプロダクションが充実しているんです。
アクースティック・ギターのハーモニクスで始まるオープニングや、
ドラムスの生音は、ヒップホップらしからぬプロダクション。
大振りのどっしりとしたドラミングが雄大で、思わず乗り出しちゃいました。
ザ・ルーツあたりのヒップホップ/ファンクに通じるサウンドですね。
経歴が不明で、どうもブリッツ・ジ・アンバサダーと関係ある人のようなんですが、
確かにバックトラックの作りなど、ブリッツ・ジ・アンバサダーと共通点は多数。
この人を知ったのは、思いっきりの偶然で、
ジョーイ・ル・ソルダットのアルバムに参加していた
トーゴ人ラッパーのイロム・ヴァンスの15年作“INDIGO” を
バンドキャンプでオーダーしたら、なぜかコフィの本作をオマケで送ってくれたんでした。
レーベル・メイトでもないのに、なんで? 単なるオトモダチなのかしらん。
残念ながら、イロム・ヴァンスの方は、単なるアメリカのヒップホップのコピー。
“Voodoo Sakpata” なんて、そそるタイトルの曲があったので、
トーゴのヴードゥーとヒップホップの邂逅かと、聴く前は大期待だったんだけど、
アフリカンな要素などまるでない仕上がりで、ガッカリ。
オマケに救われたというか、コフィの方がみっけもんだったというわけです。
ライヴでコフィは、ドラムスとギターを演奏し、
バリトン・サックス兼ソプラニーノ奏者とベーシストの3人で
ステージに上がっているんだそう。
それまたユニークな編成で、ちょっと観てみたい気もしますね。
ラップに関しては、フランス語じゃなくて、ベニンの母語でラップすればいいのにな。
Kofi "ABLUME" Otoprode no number (2013)